いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

「しばらく仕事が忙しくなる」宣言

「来週からしばらく仕事が忙しくなる」

 

我が家では、この言葉はもはや私の“持ちギャグ”のように扱われている。

 

昨日も帰宅後、その言葉を神妙な顔で妻に告げると、半笑いを浮かべた呆れ顔で「へぇ~」としらじらしい相槌をもらった。

 

このような反応を受ける理由は、これまでに私がこう宣言をして、そうなった試しがないからだ。

 

以前の職場のときからそうだった。本社の中でも総本山と称されるハードな職場に配属されたとき、私は妻にその宣言をした。

 

しかも与えられたミッションは、誰もが匙を投げかけていた案件の完遂。その当時、誰に聞いても「ご愁傷様」という言葉以外もらえなかった。

 

しかし蓋を開けてみれば、初めこそ苦労したものの、数ヶ月後には軌道に乗せ、その後無事に完遂。半年も経てば、手持ち無沙汰な毎日を送っていたくらいだった。

 

またその後、別担当でトラブル・大炎上案件が起き、私が急遽そちらの火消し役に回されたときもそうだ。そのときも私は妻に「忙しくなる」宣言をした。

 

現にその時、案件に関わっていたメンバは全員月の残業数が規定値を超えており、まさに火の車という状態だった。私はそんな状況を加味し「向こう半年は定時で家に帰れないと思って欲しい」とまで妻には伝えていた。

 

しかしこれも蓋を開けてみれば、忙しかったのは最初の1ヶ月だけで、その後は淡々と軌道に乗せ、3ヶ月ほどでほぼ収束にまで導くことができた。

 

大々的な宣言から舌の根も乾かぬうちに、私が定時で帰ることが多くなると、妻は呆れ顔を私に向けてきた。この頃から、妻は私の「忙しくなる」宣言を耳半分で聞くようになる。

 

その後異動となり、今の職場へと移った私は、前任者が荒し散らした案件を引き継ぐことになった。新しい職場なので人間関係の構築から始まるし、スケジュール的にも整理を急ぐ必要があった。

 

当然私はふたたび妻に「忙しくなる」宣言をしておいた。そのときは「娘を頼む」とも言ったかもしれない。妻は「はい、はい」とだけ言って笑っていた。

 

1ヶ月後、毎日定時で帰る私の姿があった。その後、持っている施策がすべて軌道に乗り手持ち無沙汰になった私は、先輩たちから2つの案件を引き取ることにした。

 

前任者がそれだけで苦労していた2案件に加え、追加で2案件を持つので当然ながら忙しさは倍になるだろう。私は妻に「忙しくなる」宣言をし、娘を抱きしめ「しばらく遊べなくなるよ」と悲しいお別れを告げた。妻の反応はもはや言うまでもないだろう。

 

その後も、いつもと変わらず定時で帰宅する私。もはや妻は私の「しばらく仕事が忙しくなる」をギャグとしか捉えなくなっていた。

 

そんな中、昨日改めて「しばらく仕事が忙しくなる」と妻に告げた。妻の反応は予想通りだった。しかし、今回ばかりはさすがに違うのだ、そう私は訴えたい。

 

昨日、私は新たな緊急案件にアサインされることが決まった。これまで組織間で押し付け合い、誰もが手を付けなかったヤヤコシイ案件、それが期限残り1ヶ月半の状態で、うちの担当に押しつけられたのである。

 

同様の案件では、1年以上かけて整理している内容だ。それを残り1ヶ月半で整理するという、まさにミッション・インポッシブルを課せられたことになる。

 

これはもう「しばらく忙しくなる」宣言をするしかないではないか。

 

きっと妻は私の言葉をこれっぽっちも信じていないに違いない。しかし、今回ばかりは、さすがに忙しくなるはずなのだ。

 

おそらく今週末が家族でゆっくりと過ごせる最後の日々になるだろう。せいぜい妻と楽しくおしゃべりをし、娘とたくさん遊びたいと思う。

 

このブログを読んで下さっている方々も、もし私の更新が途絶えた日には、さぞ仕事が忙しいのだろうと捉えていただきたいと思う。

 

そして万が一(ないとは思うが)、いつもどおりの日々を送っているようなら、「あ、こいつまたか」と察してもらえれば結構だ。