いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

「ぱぱ、だーいすき」

ここのところ、寝る前に娘がそのように言ってくれる。

 

布団の上で首に腕を巻き付かせ、耳元で囁いてくれるのだ。嬉しくてたまったもんじゃない。

 

もともとそれは私たちが娘に対して言っていた言葉で、お返しに言ってくれるようこちらから仕向けた面もあるのだが、それでもやはり嬉しいものは嬉しい。

 

もちろん私だけでなく妻にも言う。大抵は「まま、だーいすき」の後にぱぱの番だ。私たち三人は布団の上で順番にハグをし合い、それぞれに思いを伝え合う。

 

娘になにをされてもデレデレな私と違い、普段妻はなかなかにクールなのだが、この「だーいすき」をされたときには、さすがの妻もノックアウトされるようだ。

 

私たちは、いい娘に育ってるよね、と娘の素直さへの喜びを口にする。この「だーいすき」を寝る前にしてもらえるだけで、明日も頑張ろうという気持ちになれる。

 

ひとりひとりとハグした娘は、最後に私と妻、両方の首の後ろに腕を滑りこませ、ぐいっと自分の方へと引き寄せる。布団の上で娘を中心に顔を寄せ合った私たちは、それぞれに見つめ合いながら笑顔を交わす。

 

ベタすぎるホームドラマのワンシーンのようなのだが、実際にやってみると本当に幸福を感じるものだ。この光景を思わず映像にも残したい気持ちになってしまう。

 

娘もパパとママの顔にはさまれ、嬉しそうにぐふふと笑う。暗闇の中なので、ふたりと触れ合っているということが、彼女に安心感を与えるのかもしれない。

 

そんなわけで、我が家の「川の字」は、三本の頭がくっついたバランスの悪い「川」となる。

 

字としての見栄えはとても悪いのだが、今のところ、そのバランスを修正しようとは考えていない。

 

まぁ、朝起きたら「彳」みたいになってるんだけど。