いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

お風呂遊び

「い~ち、に~い、さ~ん・・・」

 

場所はお風呂場。娘が数をかぞえながら、シャンプーボトルや洗顔チューブを浴槽のふちに並べていく。

 

「・・・は~ち、きゅ〜、じゅっ!」

 

すべてのボトルを並べ終わると、それらのうちから2つを手に取り、車にみたてて遊びはじめた。浴槽ふちの道路を「ぶ~ん♪ぶ~ん♪」と走らせていく。

 

最近、このような車遊び(もしかしたら電車のつもりかもしれないが)をよくしている。機会があればそれ用のおもちゃも買ってあげたいものだ。

 

しばらくすると、次はボトルたちを人に見立てはじめる。浴槽の横についているコントロールパネルの前で、なにやらシャンプーさんとボディウォッシュくんが話をしているようだ。

 

S「これぴっぴ、したら、だめだからね」

B「うん、うん」

 

娘自身がよく私たちから受けている忠告を再現していた。思わずくすりと笑ってしまう。ちゃんと意味も伝わっていたんだなぁ、と嬉しい気持ちになった。

 

そちらの会話が一段落したのか、次は洗顔ウォッシュちゃんとコンディショナー婦人のあいだで女子トークがはじまった。会話の途中、浴槽のふちを歩かせていたら、娘がつるっと手を滑らせた。

 

W「おっとっと、あぶっかったぁ」

C「おちる~って、なったね」

 

楽しそうな人形遊びは尽きない。私は彼女の身体が冷えないよう、定期的にお湯をかけてやった。彼女にかかればシャンプーボトルたちでさえオモチャになるんだなぁ、と感心してみていた。

 

と、脱水所にママが来たようだ。娘はなぜだか慌て出す。「いそげ、いそげ」といって、ボトルたちを元あった場所へと並べ直していく。どうやら散らかった状態でママは迎えられない、と思っているようだ。

 

雑にではあるが全てを直し終わると、両手をひろげ私に抱っこを求めた。浴槽に入れてくれ、の意味だ。私は彼女を抱き上げ、お湯の中に入れてあげた。

 

ガチャ。

 

ママが浴室に入ってきた。娘は笑顔で洗面器を手渡す。

 

「はい、どーぞ」