いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

嬉しい話

娘の熱が下がった、と妻から報告があった。

 

仕事中にその知らせを聞き、私は舞い上がる思いだった。食欲も順調に回復しているらしい。夜にはビデオ通話で久しぶりに楽しいやり取りもできた。ここまでくれば、もう大丈夫そうだ。

 

さて、嬉しい話と言えば、昨日は会社でもそんな話があった。ただ、正確に言うと『半分は嬉しい話で、半分は恐い話』だ。

 

現在、私は会社で大きな『部』の中の、ある『部門』に所属している。『部』は全体で500人規模の組織だ。

 

なんでも、その『部』の長、つまり『部長』の口から、最近よく私の名前が飛び出すらしい。

 

一昨日も、来年度の事業計画を策定している中で、うちの部門長らが部長に相談に入った際、私の名前を口にしたようだ。

 

そのときは目玉施策の話をしていたそうだ。部門長らは、主管となるメンバーの割り当て案も一緒に見せていたようなのだが、そこで「いや、これは彼にやらせよう」と、私を指名してきたらしい。

 

その話を聞いたときには、私は素直に嬉しい気持ちになった。娘の体調が治ってきたら、妻にも話して自慢しよう、そんなことさえ暢気に考えていた。

 

しかし昨日の昼食時、また課長と部門長から新たな話を聞いた。なんでも、その日の朝の管理者ミーティングの中で、再び部長の口から私の名前が出たらしい。

 

詳しく聞いてみると、私の所属ではない別の部門に、難しい大きな案件が舞い込んできたと。それをどう進めるかという話になった際、「それなら彼にやらせよう」と、またもや部長が私の名前を挙げたそうなのだ。

 

さすがに今回は暢気に喜んではいられない。ついに自分の管轄外となる他部門の案件にまで、名前が挙がりはじめたのだ。部長は私の所属を理解していないのか?それとも単に「暇そうにしている奴」と思われているのではなかろうか?そんな疑念すら頭をよぎった。

 

しかも課長の話では、私の名が挙がっている施策をすべて合わせると、既にひとりでは到底持ちきれないようなボリュームになるらしい。

 

部門長と課長は「もうこれは、来年度から部長の隣に席を並べて“直属の特命社員”として働かされるかもね」と、笑いながら言っていた。

 

そこで私も調子を合わせ、課長に向かい「短い間でしたがお世話になりました」と、しおらしく頭を下げてみたのだが、「あほ、当然今の担当とも兼務じゃ」と、見事に言い返されてしまった。

 

まぁ、組織のトップに名前が売れること自体は、評価や昇進を考えれば悪いことではないのだろう。しかし、その期待を裏切るようなことになれば・・・いや、そこから先は考えまい。

 

どちらにせよ、私は企業戦士サラリーマン。上の決定には、原則として従うほか選択肢は無いのだ。

 

そんなわけで、来年度は私の真価が問われることになりそうだ。さて、お手並み拝見ですな。(まだヒトゴト)