いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

その瞬間は突然に

昨夜は、娘史上初となる大きな出来事があった。

 

夜ゆったり過ごしていると、娘が妻と私に声をかけた。曰く、おしっこが出そうなので一緒にトイレに行きたいとのことだ。そんなことを娘が主張してきたのは初めてだった。私たちは半信半疑のまま娘についていった。

 

うちの娘は現在2歳だが、トイレで用を足したことはまだない。トイトレは昨年から試みてはいるが一度は断念し、今年の春から再開したが進捗は芳しくなかった。

 

補助便座も買ったのだが、娘はそこに座ることを嫌がっていた。どうやってトレーニングを進めよう、喜んで座ってくれるキャラクターものの便座に買い換えようか、そんな話をつい先日、妻と交わしたばかりだった。

 

そんな娘に連れられトイレに到着した。試しに便座を取り付けてみると、娘は嫌がることなくそこに座った。固唾をのんで見守る私たち。しばらくすると、チロチロと水の滴る音が聞こえてきた。

 

「す、すごい!すごいよ!」

 

まさかとは思っていたが、こんなにも突然、この瞬間が訪れるとは。妻は興奮のあまり声のコントロールを見失い、娘の身体を支えながら大声で娘を褒め称えていた。

 

私は用を済ませた娘を便座から降ろし、高揚感に包まれながらもオムツとズボンをはかせた。娘は嬉しそうに「ここはろうよ」と言って壁に貼られた紙を指さした。

 

妻手作りの『ごほうびシール台紙』だ。双六のようにイラストと10個のマス目が描いてあり、3マス目までには既にぷっくりシールが貼られていた。

 

娘が便座に座れたら1枚シールを貼れるルールなのだ。娘にトレーニングをさせるために妻が導入したアイデアだった。これまで貼ってある3枚のシールは、どれも妻から誘い、半ば強引に娘を座らせた際のものだった。

 

しかし今回は座っただけでなく、最後まで用もたせた。

 

そのため、2枚貼っても良いよ、と妻も大盤振る舞いだ。娘は嬉しそうにシールを選び、4と5のマスに貼った。そして更にもう1枚貼りたがったので、おまけで6のマスまで埋めさせてあげた。

 

その後も私と妻は娘をたくさん褒めてあげた。大好きなラムネもご褒美として与え、娘もご機嫌だ。

 

なんだか芸ができたイルカに小魚をあげるみたいだが、覚えて欲しいことを教えこむ上で、これ以上の方法が思い浮かばなかった。まぁ、悪いことではないだろう。

 

小さな一歩だが、オムツ卒業に向けては大きな一歩だ。

 

娘の記念すべき瞬間に立ち会えて、本当に嬉しい。