いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

星野源『恋』

少し前から、娘が星野源の『恋』にハマっている。


昨日もテレビにMVを映し、一緒になってダンスを踊っていた。あの高度な踊りを完全に習得できているわけではないのだが、要所要所の手足の動きは覚え、最近ではそれらしいダンスになってきた。


私はこの曲を二度好きになった。一度目は多くの人と同様、ドラマ『逃げ恥』のエンディングテーマで虜となり、二度目はアルバム『POP VIRUS』で聞いて、そのポテンシャルの高さに心酔した。


ちなみにアルバムでは、マスタリング(音のバランスや質感を調整する仕上げ作業)が変わっており、私はこっちのバージョンが好みである。グルーヴが強調され、良い音響で耳を澄ますと様々な心地よい音が聴こえてくる。『歌』と言うよりも『曲』という印象が強くなる。


この曲はセールスも成功し、音楽評論家からも絶賛されたという、近年では珍しい曲だ。大衆受けするキャッチーでポップな仕上がりでありながら、それを構成する音楽的要素のクオリティ、強度、純度は驚くほど高く、全てが一流のミュージシャンによって手掛けられている。


ポップな曲調だが、端々でソウルやダンス、ファンクなど、様々なジャンルからの影響を感じさせられる。それでも、根本にあるのは歌謡曲の心だ。それゆえこれほどまでに、日本人の心にすっと染み込んでくるのだろう。


中でも私はサビのメロディが好きだ。日本固有の『ヨナ抜き音階』が用いられており、中毒性が高い。すぐに耳に馴染むので簡単なように思えるが、実際に歌ってみるとなかなか難しい。しかし歌いこなせるようになると、その適度な難解さが快感へと変わるのであった。

 

そして、歌詞においても『現代の多様な恋の形』を肯定するよう綴られており、ふいに意味として歌詞を捉えると心に響く。また、それがあくまでさり気なく歌われているので、押しつけがましさなどは一切感じられない。

“恋せずにいられないな 似た顔も虚構にも”

“みにくいと秘めた想いは色づき”

“夫婦を超えてゆけ”

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さて、私は今でもこの曲が収録されたアルバムを通勤中によく聴いている。大衆性と音楽性を高い次元で両立しており、本当によくできた作品だなと思う。そして、この曲が流れるたびに、私は元気が貰えるのであった。


少し前までは、ガッキーの恋ダンスが映像として脳裏に浮かんでいたのだが、最近では娘のキュートなダンスを想い浮かべるようになってきた。どちらにしても、淡いトキメキを、私に運んできてくれることには違いない。