いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ハハッ

私はミッキーマウスの声マネがわりかし得意だ。

 

テレビアニメでミッキーを知り、少し前に小さなぬいぐるみを買ってあげて以来、娘もミッキーが大好きになった。最近では、夜になるといつもそのぬいぐるみをベッドに連れてきて、添い寝をするように眠っている。

 

そのため、娘がなかなか寝付かない夜などには、私はそのぬいぐるみに成り代わり、ミッキーの声で娘に語りかけることをよくしている。このような感じで。

 

「そろそろ寝る時間だよ、ハハッ」

 

そして昨夜、いつものように娘はミッキーを連れベッドに入った。例の如くまだ遊び足りないようで、全く寝ない。しばらく様子をみていたが、そろそろ潮時だった。

 

寝るように注意をしよう、そんなことを考えていたその時だった。娘がミッキーのぬいぐるみと、もう一体の人形を手に取り、暗闇の中で人形遊びをはじめたのだ。娘ミッキーが、人形に向かって話しかけていた。

 

「もうねんねするよ、はぁはっ」

 

思わず妻と一緒に吹き出してしまった。ミッキーの声マネをする私、の声マネをして、ミッキーを演じていた。

 

私の「ハハッ」という軽笑いを強調した声マネのせいで、娘が演じるミッキーの語尾には全てそれがついていた。そしてその、少し口をもたつかせながらに発せられる「はぁはっ」という娘の言い方が、この上なく可愛らしく、ものすごく可笑しかったのである。

 

妻は何度もリクエストして、娘ミッキーに喋ってもらっていた。そのたび娘は嬉しそうに「はぁはっ」を繰り返す。私たちはしばしの間、笑いの渦に飲み込まれた。

 

図らずとも、2歳にして娘に芸をひとつ習得させてしまった。しかもそれは単なる声マネではない。“声マネ萌え”という、新しいジャンルを開拓してくれる芸だ。