いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ティッシュ2枚

世界ひろしといえど、

 

「ぱぱ、もういっかいっ!」

 

ティッシュ2枚でここまではしゃげるのは、娘くらいではないか。そんなことを、ふと思った。ただすぐに違う考えも浮かぶ。案外、どこの家庭においても、同じようなことをして遊んでいるのかも。

 

私は娘から2枚のティッシュを受け取り、再びベッドの上で中腰になった。腕を伸ばし、両手に持ったティッシュをできるだけ高い位置へと持っていく。その様子を、娘はわくわくするような目で見つめている。

 

私は少し勢いをつけて、片方のティッシュを前方に放った。ふわりと宙に舞うティッシュが、奇妙な曲線を描きながらに下降していく。娘は多少足をばたつかせながらも、それを必死に目で追いかける。ついには、目の前を横切ろうとしたティッシュを、娘が両手で捕まえた。

 

「つかまえたぁ!」

 

それを見るや否や、私は間髪入れずにもう一方のティッシュも放る。ふたたび対象が宙に舞ったことに気がつくと、娘も慌ててそれを追う。一瞬見失い、身体を一回転させそうになりながらも、なんとか目の端で捉え、床に落ちる寸でのところでキャッチした。

 

「こっちもとったぁ!」

 

そんな遊びを、昨夜私たちは何度も繰り返していた。娘は満面の笑みを浮かべ、大きな高笑いをしていた。

 

世界ひろしといえど、ティッシュ2枚でここまで幸せな気持ちになれる大人は、私くらいではないだろうか。