いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

キラキラのあぜ道

田舎のよいところは、やはり自然が豊かなところだ。

 

今日も朝食の後で娘と散歩に出かけた。家から少し歩くだけで、ひいじいの畑に到着する。私たちは乗ってきた三輪車をそこに置き、あぜ道をあてもなく歩き始めた。

 

足元ではバッタが跳ね、カエルが翻った。私は草むらで見つけたてんとう虫を枝に乗せ、娘に手渡してみた。それは枝の上を伝い、娘の指へと歩き渡った。焦った娘は手をばたつかせ、てんとう虫は草の中へと落っこちた。

 

そうこう歩いていると、向こうに小川が見えてきた。用水路なのかもしれない。昨夜までの台風の影響か水は濁っていたが、目を凝らすと泳ぐ小魚の姿が確認できた。

 

娘と一緒に石橋の上から覗いていると、水面に突き出た枝に、綺麗な青色のトンボが止まっているのを発見した。羽を休めているのだろうか。娘に指さし教えようとしたのだが、対象が動かずになかなか伝わらない。

 

私は近くの小石を拾いあげ、トンボの近くの水面に投げてみた。それは「ぽちゃん」と音を立て、驚いたトンボが枝から飛び上がった。娘はトンボの姿をやっと見つけられたのか、嬉しそうな声をあげ喜んでいた。

 

日照りは強かったが、風が肌を撫で気持ちよかった。娘は鼻の下に汗玉を浮かべ、白い歯を見せ笑っていた。

 

今夜、私たちは新幹線に乗って大阪に帰る。久しぶりの我が家も楽しみだが、この地を去るのが、少し寂しい。