いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

我慢比べと化かし合い

彼女は自分の意思で眠りをコントロールできる。

 

そういう術を習得しているのだ。私はその器用さに驚いた。さっきまでどれだけ言っても寝てくれなかった娘が、ものの数秒のうちに深い眠りへと潜っていった。

 

昨日は午後から年休を取得した。とくに用事があったわけではなかったが、半休が中途半端にあまっていたので上期が終わるこの節目に利用したのだ。妻たちと梅田で集合し、そこで買い物をすることにした。

 

私と合流したとき、ちょうど娘に昼寝させたい時間帯だったのだが、外出先でのパパとの合流により娘は興奮し、まったく眠る気配がなくなってしまった。

 

それでも、しばらくはなんとか寝かしつけようと娘と戦ったのだが、成果は上がらなかった。娘が寝たらカフェに入ってお茶でもしようかと妻とは話していたのだが、その計画も水に流さざるを得なくなった。

 

途中からは私たちが根負けし、娘を寝付かせることを諦め、私が娘をオモチャ屋さんで遊ばせている間に、妻が買い物を済ませることにした。我慢比べに勝った娘は、どこか得意げな表情を浮かべていた。

 

買い物を済ませると、通勤ラッシュに巻き込まれる前に私たちは街を出た。電車に乗ると、娘は帰ることを悟ったのだろう、大人しくベビーカーに座り、すぐさま寝息を立て始めた。もうこれ以降は楽しいところにはいかないと、知っているからに違いない。

 

私は娘の器用さに本当に感心させられた。ただ、それならそれで戦いようがあると、大人の悪知恵も浮かんできた。次に機会があれば、帰る素振りを見せてみよう。

 

大人と子供の壮絶な化かし合いが始まりそうな予感だ。