子供ならではの価値観は面白い。
昨日会社から帰ると、娘がお医者さんごっこをしていた。シールやテープを絆創膏にみたて、ぬいぐるみの腕や足に貼ってあげていたのだ。
「ぱぱは、どこがいたい?」
「うーん、ここかな」
「じゃあ、てーぷ、はってあげますね」
私も患者役になった。腕にあるホクロを傷にみたて、そこにシールを貼ってもらう。その後は医者と患者の役を入れ替わりしながら、しばらく遊んでいた。
医者に興味をもつようになったのかあと思い、ふと、じいじが医者であることを持ち出してみようと考えた。
「そういえば、じいじはお医者さんなんだよ」
「え〜!だめじゃん!!」
思わず笑ってしまった。なんとも子どもらしい。ごっこ遊びはするものの、娘にとって医者や病院は“怖くて嫌”なものなのだ。娘はその後「じゃあ、じいじすきくない」とか言い出したので、少し焦ってしまった。
また、次の展開で繰り出された娘の言葉にも、実に子供らしい価値観が見てとれて、とても興味深かった。
お医者さんごっこを続け、二体のぬいぐるみの“治療”が終わった。私は医者役の娘に、治療代としてお金を貰わないとね、と言った。すると娘はこう言ったのである。
「だめだよ、おかねはもらわないよ!」
心優しき名医の誕生だ。娘が言うには、この前行ったときも払ってなかったでしょ、という理屈らしい。きっと託児エリアで遊んでて、支払いを見てないのであろう。
医者は「ダメ」だし「タダ」で診てくれるもの。大人ではなかなか出てこない価値観だ。面白いなあとも思ったが、医者のじいじが聞いたら泣いてしまうだろうな。