いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

チョコ日和

「ばれんたいんだよ!」と娘が紙袋を持ってきた。

 

夕食後のことだ。私は喜んで受け取り、さっそく紙袋を開いた。中にはふたつの小箱が入っていた。それらを取り出し、シールを剥がしてふたを開けはじめる。

 

娘は「おうた!」と言って、オモチャ箱へと駆けていった。なにかを引っ張りだしてボタンを押す。『お歌絵本』だった。ハッピーバースデーのお歌が流れ出す。

 

娘は満足げに戻ってきて、BGMと一緒にハッピーバースデーを歌う。「はっぴばーすでー、でぃあ、ぱあぱー」。ぷっくり浮かぶ涙袋が愛らしい。最後まで歌いきると、娘は私に向かって「おめでとう」と手を叩いた。

 

娘の理解ではバレンタインはお祝いらしい。私はその誤解を解かぬまま、娘と妻にお礼を言った。チョコはシックでアダルティなものと、可愛らしいキャラクターものがあった。ただ妻曰く、前者の方が娘チョイスらしい。

 

それぞれを開くと、中には6つずつのチョコが入っていた。開くと同時に覗き込む妻と娘。「○○ちゃんは、はーとのやつ!」「私は上の二つがいい」。女性陣の予約が完了する。「あ、やっぱりこれもほしい」「私も一個」。前言撤回。女性陣の予約が今度こそ完了した。

 

私は彼女らが指さしていないものを選び口へと運んだ。やはりコンビニやスーパーに売っているチョコより、上品な味わいがする。これがカカオ本来の味なのだろう。

 

美味しかった。改めて妻と娘にお礼を言った。お返しは何にすれば喜ぶかな。絶対に忘れないようにしないと。