いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

西郷どんオーケストラ

娘はテレビから流れる音楽によく反応する。その中でも、最近の彼女のお気に入りは大河ドラマ『西郷どん』のオープニング曲だ。
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私は歴史好きな妻と結婚して以来、大河ドラマを見るようになった。今では歴史関連の本を読みあさるほど、私自身もハマっている。

 

しかし今シーズンはいろいろと立て込んでいた事もあり、『西郷どん』に関してはリアルタイムでは見られていなかった。そのため番組録画したものが、レコーダーにどんどんと溜まっていっているような状況にあった。

 

そんな中、先週末が雨で家から出られなかったこともあり、ここ数日、録り溜めたものを妻と一緒にハイペースで見ていっている。

 

そのせいで尚さら娘の耳に馴染んだのであろう。イントロが流れはじめると、そのたび娘は目を輝かせ、はしゃぎながら手をばたつかせる。

 

おそらくは打楽器による力強いリズムと、管楽器の楽しげな雰囲気が娘の心を掴んだのであろう。

 

そんな娘の様子をよくよく観察してみると、まるでオーケストラの指揮をとるかのように、音楽に合わせて手を振っていることに気づく。

 

展開のある楽曲のため、中盤は一度穏やかな調子になるのだが、そのときも娘はそれに合わせ、ゆったりとした指揮を振るう。

 

空中になだらかな波線を描くように、優雅に腕を漂わせるのだ。

 

そして終盤、楽曲は再びテンポをあげていく。ドラマチックな熱を帯びながら、その昂ぶりは最高潮を向かえる。

 

娘は音の高鳴りに合わせるように、勢いよく腕を振る。絶妙なるタイミングで合図を送ると、ティンパニーがそれに呼応して音を鳴らした。

 

画面には薩摩の美しい風景と、それを見つめる西郷の姿が映し出される。荘厳なるラストだ。

 

最後の音が鳴り終わると、娘は両手を頭上へと掲げ、ぴたりと止まる。そして一拍の間ののち、オーケストラに向かって笑顔で拍手を送るのだった。

 

私と妻は、そんな娘に対して拍手を送る。娘は嬉しそうに白い歯を輝かせて笑った。

 

そのように、イントロが鳴り響くたびに娘のオーケストラ公演が始まる。

 

そのため私と妻は、本当であればオープニングはスキップして早く物語の続きが見たいのに、その気持ちをぐっと抑え、彼女の公演を最後まで見守ることにしている。

 

物語はとても評判がよかった『奄美大島編』にまで辿り着いた。数話を見ただけが、たしかに二階堂ふみがよい存在感を発揮している。

 

また今夜も続きを見るのが楽しみだ。

 

指揮者の彼女も、腕を振るいたくてウズウズしているに違いない。