いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

3年A組 今から皆さんは、人質です

タイトルのドラマに家族全員でハマっている。
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私と妻はストーリーに夢中だ。最新話では第二章に入り、更に展開が楽しみになってきた。真の黒幕は一体誰なのか。毎週終わり際に衝撃の新事実が明かされるので、どんどんと話に引き込まれてしまう。

 

そんな親たちを尻目に、娘は本編中はとても静かに過ごしている。ひとり人形ごっこに興じたり、私の膝の上で所在なさげに手遊びをしたりしているのだ。

 

そう、娘がハマっているのはドラマの本編ではない。彼女にとっての本番、それはエンディング曲なのだ。

 

ザ・クロマニョンズの『生きる』。いかにも青春ドラマのエンディングに使われそうなキャッチーな曲なのだが、最初に聞いたときはシリアスなドラマ展開とのギャップに違和感を覚えたものだ。ただ物語の構造が見えてきた今では、しっくりと馴染んできたように感じる。

 

そんなアップテンポなロックナンバーを、娘は妙に気に入っている。軽快なイントロが流れ出すと、勢いよくテレビの前に飛び出してきて、笑顔で踊り出すのだ。

 

「ぱぱ、おどろうよー!」

 

そのように毎回私も誘われるので、エンディングの間はリビングがダンスフロアと化す。ふたりともエアギター大会のように身体を大袈裟に動かし、ロックテイストな踊りをはちゃめちゃに繰り出すのであった。

 

私は適宜、ブレイクダンス(もどき)や、バレエ(もどき)も踊りの端々に散りばめ、自身のダンスに幅をもたせるよう常に心がけている。

 

娘は素直なので、そんな私の繰り出す新技をすぐに真似したがり、自身のバリエーションに取り入れようと努めるのであった。我が娘ながら見上げた精神だ。

 

ただ、そんな我々の渾身のダンスは、妻の目にはとかく滑稽に映るらしい。半ニヤケ顔で動画を撮られる始末。試しに映像を見てみると奇妙な軟体動物が2匹。ダンスは見るものではなくやるものだ。そう、強く思った。

 

さて、そんなわけでエンディングが終わる頃には、すっかり物語の余韻が消え去っている。汗が額ににじみ、息をはずませながら、娘と笑顔を交わし合う。そして、娘は決まってこう言うのだった。

 

「もういっかい、おどろ!」

 

昨日はそんな感じで5回くらい踊らされた。人質にされる生徒達の気持ちが、少しだけわかるような気がした。