いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

カバより魚

今朝、妻が友人の結婚式のため東京に旅立った。

 

明日の夜まで、娘とふたりっきりである。そんな今日は、娘を連れて天王寺動物園まで行ってきた。

 

久しぶりの動物園だ。最近、娘は動物たちを覚え始めているので、どんな反応をするのか楽しみだった。

 

動物園に着くと、娘は入り口にあった顔はめパネルに楽しそうに顔をはめた。思わずパシャリ。私たちはチケットを買い、さっそく中へと入った。

 

まずは適当に園内を1周しようと歩き始めた。最初はカバのエリア。大きな2頭のカバが水中でじゃれ合っており、非常に見応えがあった。その後もキリンやライオン、虎やオオカミ等、めぼしい動物たちを見て回った。

 

ふれあいコーナーに差し掛かると、娘は周りの子供が餌をあげていることに気づき、「ごはん、あげる!」と言って目を輝かせた。しかし、残念ながら餌を販売するガチャガチャは売り切れ状態。娘は泣き出してしまった。

 

後で餌が補充されることを祈りつつ、なんとか娘をなだめ、近くのベンチにて自分たちの昼食をとった。「自分がご飯を食べたら、動物にもご飯をあげられる」と理解した娘は、勢いよくおにぎりを頬張っていた。

 

食事を済ませると、餌補充への時間稼ぎも兼ねて、園内のもう半分を回ることにした。そちらにはチンパンジーやシロクマなどがいた。また夜行性動物館や鳥の楽園などもあり、娘は楽しそうに歩き回っていた。

 

おさるのジョージ』に会いたい、と娘が言うので猿のエリアにも連れて行ったのだが、「じょーじじゃない、こわい」と言って泣きだした。やはり可愛くデフォルメされたジョージと、実際の猿は同じに見えないらしい。

 

そんなことをしているうちに、娘は再び「ごはん、あげる!」と言い出した。さらには「ごはんぜんぶたべたから、ごはん、あげる!」と、昼前の約束を主張して、私としても、再びふれあいコーナーに戻る他なかった。

 

戻ってみると、幸運なことに、目の前で餌販売のガチャガチャが補充されていた。一斉に人が群がる中、私たちもなんとか餌を購入できた。娘は嬉しそうにそれを握りしめ、ふれあいコーナーへと駆けだして行った。

 

餌は2匹の羊にあげた。手を差し出すと、勢いよく口を近づけてくる羊たちに、少しだけびくつきながらも、娘は自分の手で全ての餌をあげることができた。妻に見せるために動画にも収めたが、撮れ高は十分だった。

 

その後、ソフトクリームを買ってしばし休憩した。もう帰るか、もう一度園内を散策するか、迷う時間帯だった。しかし娘がまだまだ元気そうだったので、再び午前中のエリアを回ってみることにした。

 

私が最も印象深かったカバのエリアから、キリンを通って、ライオンのエリアまでを回ろうと決めた。

 

カバのエリアは、陸上からも見られるが、水中の様子が水槽越しに観察できるブースもあった。娘はそこがお気に入りのようだった。しかし、娘の関心はカバではなく、同じく水槽内を泳ぐ魚にばかり注がれていた。

 

他のお客さんがカバの一挙手一投足に声をあげる中、娘だけが目の前を横切る大小の魚達に歓声をあげていた。

 

そんな魚好きな行動は、その後のキリンエリアでも見られた。せっかくキリンが目の前に近づいてきてくれたのに、娘は近くの池にいた2匹の鯉に、落ち葉を食べさせようと躍起になっていた(当然食べやしない)。

 

動物園ではなく水族館の方が良かったかな、と少しだけ複雑な気持ちになった。まさかこんなに魚が好きだったなんて。まぁ、喜んでくれているのでいいのだけど。

 

最後のライオンは案の定、娘が怖がったので素通りし、そのまま動物園を出ることにした。娘は家に帰ることを察知すると、大声で泣きわめいたが、抱っこしているうちに静かになり、電車に乗る頃には眠りについていた。

 

彼女を抱きかかえながら、電車の中で私も少しだけ寝た。すさまじい疲労感に襲われていた。それでも、娘に喜んでもらえたので、連れて行って良かったと思った。

 

娘とのふたりっきりの時間は、明日の夜まで続く。