いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

是枝監督の映画にはまる

ここのところ是枝監督の映画にはまっている。

 

先日は、妻とテレビで録画をしていた『海よりもまだ深く』を観た。その地味だが、じんわりと胸に染みわたる物語に引き込まれ、夢中になって観た。樹木希林阿部寛による味のある演技には虜にさせられた。

 

昨日は、娘と妻が寝静まったあとに、ひとりAmazonプライムで『歩いても、歩いても』を観た。こちらも阿部寛樹木希林が親子役で登場する。この映画も人間の表裏が丁寧に描かれており、とても感銘を受けた。

 

また何気ない会話やアイテムだけで、その家族の置かれている状況や、過去に何があったかを悟らせる術が実に見事で、状況設定はこうやって伝えていくんだよ、という良いお手本を見せられたような気持ちになった。

 

調べてみると、私はこれまでに是枝監督の映画を計7作も観ていることがわかった。キャッチーな話題作も多いのだが、彼の本領が発揮されるのは、どちらかというと地味な作品ではないかと私は思っている。

 

そこに漂う文学的な味わいにゆったり酔いしれることができるからだ。言葉ではうまく言い表せないことを、物語を通して伝える。彼の映画を観終わると、良質な文学小説を読んだ後のような、深い余韻に包まれる。

 

(そういうと、映画を文学よりも下に見ているような物言いになるが、単に私の価値観なのでご容赦願いたい)

 

それにしてもいい監督だ。今更ながらに、彼がなぜこれほどまでに高い評価を受けているのかが理解できた。ただ、大衆小説に比べ文学小説が読む人を選ぶのと同様に、是枝作品も観る人を選ぶ作風なような気がする。

 

それなのに、世間的にも広く知られ、人気になっているのがなんとも不思議だ。高い作品性と共に、大衆性をも兼ね備えているなんて、もはや無敵ではあるまいか。実にすごいことだ。他の作品も観てみるつもりでいる。