娘には『大好き』か『大好きじゃない』かしかない。
嫌いなもの、苦手なものに対しては、よく「大好きじゃないの」と言い、苦虫を噛み潰したような顔をする。
昨日はそれ関連で、少しショックなことがあった。
ソファに座っていると、私の腕に抱きついてくる娘。「ぱぱのおてて、だいすきー」。私も嬉しくなり、「○○ちゃん大好き」と言って娘の全身を抱きしめた。
そこで顔を上げ、私に問いかけてくる娘。「ぱぱは、○○ちゃんのどこがすきなの?」。私は「全部だよ」と答える。娘はふーんと言い、自分はパパのおててが好きなのだと、再度口にする。そこで私は嫌な予感がした。
「パパのお手てだけが好きなの?」
「うん、おてて、だいすき!」
「・・・顔は?」
「おかおは、だいすきじゃな〜い」
それを聞き吹き出す妻。ショックのあまり言葉を失う私。その後なんとか正気を取り戻すと、しつこいくらい娘に何度も問いかけ続けた。何かの言い間違いに違いない。そうでなければ立ち直れないかもしれない。
あまりにしつこい為、最後は気を遣わせてしまった。
「おかおは、ちょっとだけ、だいすき」
「・・・お手ては?」
「いっぱいだいすき!」
これからは腕だけを武器に生きていこう。ぐすん。