いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

妻が緊急入院した。

昨夜のことだ。人生とはなんとも予測がつかない。

 

昨日はそうでなくても大変な一日だった。コロナ関連で急遽会議を開くこととなり、その準備で昼食も取れなかった。通常業務でも主催の会議があり、その後も残業を出してひとりコロナ関連の方針をまとめていた。

 

そんなとき、妻から連絡が入った。出血があったので念のため産婦人科に行くと。そして診察後、すぐさま入院することを聞いたのである。

 

私は課長に連絡を入れ、明日以降休みを取るかもしれない旨を伝えた。今週やる必要がある重要な仕事たちについての引き継ぎメールを送り、予定よりも早く残業を切り上げ、病院へと向かった。

 

胎盤が正常より低い位置に付着していることで、動くと出血をしてしまうらしい。安静のため、出血が止まってからも2、3日は入院するという方針を聞いた。

 

母子の命に別状がないことを知り、まずはほっとした。ただ妻はとても落ち込んでおり、苦手な点滴をつけたまま暗い表情を見せていた。病室には簡易トイレも持ち込まれており、ベッドからの移動も一切禁じられていた。

 

私はコンビニで買ってきた夕食を妻と娘に食べさせた。両方の実家にも連絡を入れ、入院が長引く際にはヘルプで来てもらうかもしれない旨を予め伝えておいた。

 

面会が9時で終わりだった為、後ろ髪を引かれる思いで妻と別れ、娘と帰路に立った。娘は何度もさみしいと言い、私も呼応するように寂しさを口にした。

 

家に辿り着くと疲れがどっと全身を襲った。手洗いうがいを済ませ、娘に追加の夕食を取らせている傍ら、改めて課長に電話を入れた。今週いっぱいは休みをとること。状況によっては来週前半も出社できないこと。

 

課長は穏やかに了承し、仕事の方は心配ないから、と優しい言葉をかけてくれた。コロナもあり、トラブルもあり、年度末で業務が大変なのは知っている。それなのに安心感を与えてくれたことが、とても有り難かった。

 

娘とシャワーを浴び、歯磨きをして寝室へと入った。娘も疲れていたのだろう。横になるとすぐに寝はじめた。

 

暗い病室でひとり痛みを抱えて眠る妻のことを想った。送られてきた「おやすみ」というボイスメッセージ。その優しい妻の声が、いつまでも私の耳元で響いていた。