いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

緑地公園でピクニック

我々は花畑の前にテントを張った。

 

太陽の日差しは強く、風には草木の溌剌とした匂いが含まれていた。テントの四隅をペグで止め、中に厚めのシートを敷いた。荷物を置き、上着を脱ぐと、娘が勢いよく駆けていった。私も少し遅れてそれを追いかける。

 

久しぶりの外出だった。コロナを気にするとどこに行くにも行きづらいが、風通しの良い公園ならいいだろうと、近くの緑地公園にピクニックに訪れていた。おそらく同じ考えなのだろう。見渡す限りたくさんの人達が芝生の上にシートを敷いていた。

 

娘に追いつき手を繋ぐと、正面から娘の名前を呼ぶ声がした。大人2人と子供2人の家族だった。顔に見覚えがある。娘と同じ幼稚園に通うお友達の家族であった。


子ども達はすぐにはしゃぎだす。私も面識があったので挨拶を交わし、すぐ妻にも知らせに行った。当初の予定では、テントの周りでばあばと娘に遊んでもらうつもりだったのだが、お友達と遭遇したことで変更となった。

 

お友達姉弟がもってきたライダー系(自転車、キックボード、三輪車)を貸してもらいながら、娘たちは室内での鬱憤を発散するかのように、伸び伸びと遊んでいた。

 

昼になったので一度テントに戻り昼食を食べた。娘が食べ終わるのを待つ間、私はテントの中で横になった。投げ出された手を太陽がじりじりと焼き、ぽかぽかとした気持ちになった。鼻先をくすぐる芝生と土の匂いに包まれながら、どうやら少しの間眠ってしまったようだ。

 

娘に起こされ、第2幕が上がった。お友達をテントまで迎えに行き、再び遊び始めた。私は初対面となる弟くんにも懐かれ、彼とそのお父さん、私と娘という4人で、子ども達に手を引かれるまま森の中へと入っていった。

 

弟くんはまだ2歳で、言葉も辿々しい。それでも男の子特有の力強い目の光りを携えていて、女の子とはまた別の愛おしさを感じた。なるほど、男の子の可愛らしさとはこういうところなのか、と実感を得ることができた。

 

夕方が近づき、遊びはお開きとなった。まだ遊びたいと駄々をこねる子ども達はそれぞれに抱っこされ、そのままの態勢でしぶしぶ手を振り合って解散した。

 

テントを仕舞い、娘を座らせたベビーカーに諸々の荷物をかけ、家まで押して帰った。全身には久しく味わっていなかった種類の心地よい疲労感が溜まっていた。

 

ただ、やはり外遊びはとても楽しい。それは子どもたちだけに限った話ではなく、私たち大人にとっても。