いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

塔の上にいる気持ち

娘がリビングで音楽に合わせて踊っている。

 

私は流し台越しにそれを眺め目を細めた。しかしそれだけの薪をくべても胸の中はなかなか暖まってくれない。

 

壁にかかった時計を眺めた。午後7時。空虚な気持ちに包まれる。また今週も、娘をどこにも連れて行くことができなかった。私は手元にある皿を洗う。隣では、妻が冷蔵庫にあるものだけで、夕食を作ってくれていた。

 

ふと顔をあげると、なんだか部屋が狭くなったように感じられた。明日からまた仕事だと思うと暗い気持ちになったが、外に出られると思うと、少しだけほっとした。はたしていつまでこんな閉塞感に苛まれるのだろうか。

 

ふたたびリビングで踊る娘に目をやった。彼女は器用にリモコンを操作し、YouTubeでディズニーの曲を流し続けていた。エルサにモアナ.....次はラプンツェルだ。

 

軽快なイントロから曲が流れ出す。どうやら塔の上に閉じ込められ、彼女も閉塞感を抱いているらしい。同じことを繰り返す単調な日々に飽き飽きとしているようだ。

 

私のこんな暮らし いつまで続くの?

 

ため息まじりの彼女の言葉が、妙に心に刺さった。