いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

小さなガッキー

娘が久しぶりに髪を切った。

 

コロナ感染を恐れて美容院に行くのを自粛していたが、もう限界が近かったのだ。帰ってきた彼女に玄関から呼ばれ、そこで対面となった。髪の量が減り、長さも短くなっている。毛先が内に巻かれたショートボブだった。

 

可愛い。心の声が漏れた。やっぱりプロの美容師は流石だ。こんなに小さな子供にも髪型ひとつで女の子を纏わせている。まるで再放送中ドラマのガッキーのようだ。
f:id:pto6:20200603083636j:image
私が可愛いと言うと、彼女は内巻きの毛先を両手に乗せて、ふふふん♪といった感じで身体をくねらせていた。実際に「かわいいでしょ」とも口にする。

 

私は「可愛い、ほんと可愛い!」と真っ直ぐに見つめて連呼した。すると、さすがに照れくさくなったのか、娘はハニカミを携え、顔を背けるようになった。

 

私は女の子が照れた顔が好きなので、なおも「可愛い」攻撃を続ける。娘は私に正面をとられないよう逃げまとい、「やめてやめて」としばしじゃれ合っていた。

 

鏡の前へと連れて行くと、いっぱしの女子の表情をつくり、冷静な視線で自分の髪型をじっくりと検分していた。しかし最後には満足がいったのかニコッと微笑み、首を回して横髪をふわふわと羽ばたかせていた。

 

未だに新鮮なのでしばらくは「可愛い」と洩らしてしまいそうだ。そのたびに、娘は小さくハニカムのだろう。