いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

幸運な珍事

昨日は珍しいことが起きた。

 

私の在宅勤務中、娘が妻に本を見せながら話していた。どうやら何種かの虫の写真が載っているページらしい。

 

「パパはこれがすきなの、ママはこれね」
「へー、じゃあ○○ちゃんはどれが好きなの?」
「○○ちゃんは、これがすき!」

 

娘が指さしたのはカマキリだった。ちなみに私にはカブトムシを、妻にはアゲハチョウを割り当ててくれた。

 

そんな会話を終えた後、妻が洗濯物を干しにベランダに出た。すると、すぐに妻が大きな声を上げ私のことを呼んだ。私は何かと思い、急いでベランダへと出てみた。

 

するとそこには、小さなカマキリがいた。なんともタイムリーな出現に、私たちはにわかに興奮に包まれた。私はすぐに虫かごをもって来てそこにカマキリを入れた。娘に見せると、とても華やかな表情を浮かべていた。

 

私と妻はなにか運命的なものを感じたので、このカマキリを飼ってみようと心に決めた。私の業務が終わった後に、飼育用のケースやエサを買いに行く運びとなった。

 

それまでカマキリには虫かごの中で待ってもらうことにした。調べると水が大事とのことだったので、水を浸した脱脂綿を入れておいた。私の仕事終わりを待つ間、娘はベランダプールで水浴びをしたりして遊んでいた。

 

娘が昼寝に入った頃、私の業務時間が終わった。飼育ケース等を買いに行く準備を済ます。出発の前に、カマキリはどんな様子だろうかとベランダへと見に行った。

 

すると、虫かごの中のカマキリはいなくなっていた。小さな身体だったので、おそらくは虫かごの隙間から逃げ出したのであろう。慌てて辺りを探してみたが、ふたたびその姿を見つけることはできなかった。

 

娘よりも私と妻の落胆が大きかった。幸運というのは頻繁には起きないし、長くは続かないものなのだろう。

 

悔しいので夕方、家族三人で近所に虫取りに出かけた。しかし収穫はダンゴムシのみ。娘は最初怖がっていたものの、次第に触り始め、手や腕を這わせて戯れはじめた。娘の可愛い姿が見れたので、少しだけ気が晴れた。