いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

走りだせ!

大自然の中ではじける娘を見るのが好きだ。

 

家の中の娘ももちろん微笑ましいのだが、太陽の下で駆け回る娘はより健全に見え、爽やかな気持ちが渦巻く。

 

昨日は久しぶりに万博記念公園に行ってきた。太陽の塔がある公園だ。中に入るのには入場料が必要となるが、それゆえに綺麗に整備され、人も適度で多すぎない。

 

園内に入ると、娘は「よーい、どん」と言って駆けだした。正確には園内に入る前から私と競争をしたがっていたのだ。私は娘を追いかける形で太陽の塔の脇にあるスロープを駆け上がり、一気にその背後へと到着した。

 

娘はそこにひろがる広大な広場の中程までひとり駆けていった。娘がとても小さく見える。こちらを振り向いては軽快に手を振っている。私は本気を出して娘に追いついた。私が近づくと、娘はキャッキャと逃げ回った。

 

そんな私たちに、妻は無人のベビーカーを押して、のんびりとついてきた。広場を見渡せるスタンド席に腰掛け、日傘を差して私たちが駆け回るのを眺めていた。

 

娘は鼻の下に汗玉を浮かべていた。それでも溌剌とした勢いはまだ内部に残っているようで、尚も四方に駆け出さんと、躍動感を携えた態勢を維持していた。

 

家の中では発散しきれないのであろう、野性味あふれる娘のパワーを感じ、私は息を弾ませながら、娘の頭に手を置いた。迸る娘の熱を、言葉のとおり肌で感じた。