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文学パパが綴るかけがえのない日常

ハツカネズミと人間

スタインベックの『ハツカネズミと人間』を読了。
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ノーベル文学賞作家であるスタインベックの有名な中篇小説だ。これまでに映画化や舞台化もされている。

 

彼の作品を読むのは『怒りの葡萄』に次いで2冊目となる。前作同様、写実的な描写と会話文が物語を牽引する。外面描写に徹しているが、行間からは人間の体温を感じさせられる。これが作者の特徴といえるだろう。


正反対な二人組が主人公だ。身体は大きいが頭が鈍いレニーと、チビだが頭は切れるジョージ。二人は生きるため支え合いながら、農場を転々とし働いている。本作はそんな彼らのある農場での四日間を描いた物語である。

 

会話や所作の端々から伝わってくるふたりの友情、労働者たちがおかれている過酷な状況など。淡々とした描写ながら、読んでいると色々なことが伝わってくる。

 

小説は短くてシンプルな構成だが、それゆえにストレートなヒューマンドラマを味わうことができる。

 

人気があるのも納得だ。またいつか読み返すだろう。