いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

年の瀬のポワレ

身包みを剥がされた木々が寒空の下に立つ。

 

そんな風景を暖かい部屋の中からガラス越しに眺めていた。昼食時の一幕だ。今日は高槻市にある安満遺跡公園を家族で訪れていた。

 

園内にあるイタリアン・カフェの中。青い空と緑の芝生が眩しかったが、先に述べた木々たちの様相のおかげで季節感覚を失わずに済んだ。

 

開園したばかり(というか今もエリア拡大のため工事中)ということもあったのか、寒いからなのか、人もまばらで過ごしやすかった。

 

ボールで遊ぶ子供たち、ガラスを姿見にダンスを練習する青年たち。牧歌的な風景を眺めていると穏やかな気持ちになることができた。

 

その後はしばし芝生の上を娘と駆け回り、ボーネルンドのプレイヴィルに入場した。夕暮れ時で入場者は少なく、娘と一緒に広々と遊んだ。

 

時間いっぱいまで遊び尽くし、外に出ると、辺りはすっかり真っ暗になっていた。ライトアップされムーディに照らされる公園。娘は疲れたのか私に抱っこをせがみ、私たちはゆっくりと歩いて、おもいで深い公園を後にした。

 

駅前まで来ると、行き際に目をつけていたフレンチのお店に入った。テーブル席が3つにカウンター席という、こじんまりとした温かみのあるお店だ。席に着くと案の定、娘はソファ席で寝始めた。私と妻はこれを千載一遇のチャンスと捉え、久方ぶりの大人ディナーに切り替えた。

 

私達の見込んだ通り、出されるメニューその全てが美味しかった。ちょうど今朝妻とフランスの話をしていたこともあり、身体もフレンチ料理を待ち望んでいたのかもしれない。口に運び入れるたび、それらは瞬く間に悦びへと変わり、身体の中に溶けて私達の体温と混ざりあった。

 

たまの週末にはこんな贅沢な時間が必要不可欠である。こんな幸せがないのであれば、誰が日々の過酷な労働に耐えられよう。これを不要不急だとは言わせない。素敵なひと時だった。