いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

空を飛びたい

「は~、おそらがとべるようになりたいな~」

 

最近娘がそんなメルヘンちっくなことをしばしば口にする。昨日も湯船に浸かりながら出し抜けにそんなことを呟きはじめた。

 

私は理由が知りたくて娘に尋ねた。

 

「だって、おそらをとべたら、いろんなところにいけるから。○○にある、じいじやばあばのいえだって、おそらのうえからみえるだろうし」

 

なんて可愛い理由か。きっとドラえもんを見た影響なのだろう。私だったらタケコプターじゃなくて、どこでもドアが欲しい。空なんて飛ばずに手っ取り早く目的地に着きたいと思ってしまう。娘に比べ、なんてロマンのない男だろう。

 

ちなみに昨夜、今年最後の贅沢としてお家焼き肉をしていた際には、娘は初めて焼き肉を食べた。これまでは野菜ばかりだったが、プレートで焼いた肉を私も食べたいと言い出したのだ。

 

初めてなので一番高い肉をしっかりと焼いた後、ハサミで小さく切って、冷ました上で娘の口にいれてあげた。娘は美味しいと言い、種類の違う肉を3枚ほど食べていた。

 

「おにくたべると、きんにくがつくんでしょ?」

 

そういって娘は力こぶをつくるポーズをとっていた。強くなったことを確かめたいがために、食後は私にパンチを受けて欲しがった。

 

空は飛べないかもしれないけど、娘はどんどん成長し、できることがどんどん増えていくだろう。そう思うととても嬉しい気持ちになった。

 

でも一方で、成長した暁には、空を飛ぶよりもっと別のことがしたいと思うかもしれない。それも成長なのだが、少しだけ寂しくも思えた。

 

ちなみに私達はというと、奮発して買った肉を昨夜三分の一ほど残してしまった。「若い頃はよく食べ放題とかいってたのにね」そう妻と囁き合い、身体の衰えをしみじみと感じていた。