いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

聖徳太子

「でね、今日お迎えに行った時にバス停でね」

「パパ、あのさー、きいてきいてー」

 

女子たちはほんとうにお喋りが大好きだ。我が家の女性陣もその例にもれない。昨日久しぶりに出社した後に家に帰ると、ふたりが奪い合うように私に向かって話しかけてきた。

 

ちょっとしたモテぶりで嬉しかったのだが、ふたりと会話をするのは大変である。10人の話を同時に聞いたという聖徳太子が思い浮かんだ。

 

でも私は思うのだけれど、聖徳太子の相手は全て男性だったのではないか。相手が女性だったのであれば同時に相手するのは無理だと思う。

 

男との会話であれば、相手のメッセージを受け取り、それにただ返すだけでいいので、複数人でもなんとか同時に会話できそうな気がする。

 

ただ相手が女性であれば、彼女らは『会話すること自体』に目的を持っているため、期待される頻度と適切な大きさで相槌を打ち、共感を示すことが会話において重要になる。だとすれば、複数人を同時に相手するのは至難の業だ。

 

そんなわけで、妻と娘から矢継ぎ早の会話を受けた私は、聖徳太子より凄い境地に身を置いたと言ってもいいだろう。終始どっちつかずになり、まるでうまく捌けていなかったのだけど。