いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

珈琲とシャボン玉

口の中で挽きたての豆を感じた。

 

芳しい香りが鼻から抜ける感覚だ。昼食をとったパン屋さんからテイクアウトしたカフェラテを飲んでいた。ほのかに苦みがあるというのに、「美味しい」と感じるから不思議である。

 

公園のデッキにクリアカップを置く。目の前では娘がシャボン玉を吹いている。以前と比べるとずいぶん上手になった。吹き先から、気持ちの良いほどにシャボン玉が連なって出てくる。

 

もう一方を向き、ベビーカーに座る息子を眺める。日差し避けからぶら下げたオモチャを、愉快そうに掴んでは振り回してる。笑うと、歯茎から顔を出したばかりの下の前歯が覗く。それが見えるたびなんだか頬がゆるむのを感じる。

 

ズボン越しに感じる日差しは暖かい。風にもすっかり春の趣を感じる。葉っぱは穏やかに揺れ、優しげに子供たちを見守っている。観葉植物を育て始めて以来、植物に目をやることが多くなった。艶やかな葉っぱを撫でては、これはなんていう名前だろうかと興味が湧いてくる。

 

子供たちの楽しげな歓声は、だだっ広い真っ青な空にすぐさま吸い込まれていく。いい公園だ。たしか前訪れたときにも、同じ感想を抱いた気がする。公園日和。これ以上ない日曜日。

 

「また明日からも仕事がんばろう」。自然とそんな言葉が口に出た。その声もすぐさま空中に溶けていく。見上げると、青空はとても澄み渡っていた。来てよかったなと、心から思った。