いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ささやかなる誕生祝い

今年も妻の誕生日がやってきた。

 

去年は「コロナのせいで今までで一番質素なお祝い」だなんて言っていたが、一年後もそんな状況が続いているだなんて思ってもみなかった。

 

そんなわけで、今年も自粛要請の中での誕生日を過ごした。それでも少なからずお祝い感を出そうと、近所にある上品な蕎麦屋で贅沢なランチを食べた。銘々好きな蕎麦に鴨ロース、妻はデザートにスフレとシャーベットまで頼んでいた。

 

帰りにはニトリによって寝室の照明と枕を新調した。どちらも気に入ったものがみつかり、帰って設置すると寝室がグレードアップしたように感じた。

 

娘が幼稚園から帰ると、ふたりで自転車に乗り、隣町のケーキ屋と花屋に向かった。帰宅すると、娘は花束を妻に差し出し、王子様のように膝をついた。どこで覚えたのだろうか。妻は娘の選んだ花々をとても嬉しそうに花瓶にうつして飾っていた。

 

その後、明日から雨が続くことも考慮して、皆で緑地公園へと遊びに行った。そこでは同じマンションの同級生とも遭遇し、娘は楽しそうに遊んでいた。

 

帰りは、その同級生のママに教えてもらった駄菓子屋に立ち寄った。私と妻の童心はよみがえり、娘以上にテンションが上がっていた。それぞれが好き放題カゴに駄菓子をいれたものだから、駄菓子屋では見たことのないような金額を支払うこととなった。

 

帰宅するとすぐに出前ピザを頼んだ。それが届くまでのあいだ妻と娘は昼寝をする。ピザが届くと空腹の勢いのままにかぶりついた。食後は駄菓子とケーキ。なんか去年の流れと似ている。でも息子が加わっている分、賑やかさは増しているのだった。

 

とはいえ妻は、自分の新しい年齢を恨めしそうに呟いてはため息をついていた。なにをそんなと肩を叩くと、この気持ちは男にはわからないのだとあしらわれた。そんなものかね。なんにせよ、今年も一緒に歳を重ねられた喜びをしみじみと噛み締めた。お揃いのマグカップで美味しいコーヒーを飲んだ。