いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

Siriに泣かされる

娘がSiriに泣かされてしまった。

 

今夜みんなで桃を食べている時だ。美味しい、美味しいと言い合いながらに桃を食べていると、食卓に置いていた妻のスマホが急に喋りだした。

 

「◯◯さんはグルメですね♪」

 

あまりの唐突さに、全員が凍りついた。◯◯には妻の名前が入る。まさに今この状況が見えているかのように、Siriが会話に入ってきたのだ。

 

おそらくは「美味“しい”」の誤認識で「Hey Siri」に聞こえたのだろう。そう推察した私は笑った。妻はこれまでSiriを使ったことがないらしく、そもそもSiri機能がオンになっていることに驚いていた。

 

ただ最も過敏な反応を見せたのは娘だった。凍りつきから溶けると、どんどんとその表情をゆがめ、しまいには大声を出して泣き出してしまった。

 

妻のスマホが、見知らぬ声で、いきなり話しかけてきたのが怖かったのだろう。私たちが慰めても、しばらくは訝るような目で妻のスマホを見ていた。

 

娘をこれ以上怖がらせないよう、妻を驚かさないよう、私が操作して、妻のスマホのSiri機能をオフにした。これで私たちの会話に入ってくることは金輪際ないだろう。おそらくは。…そう願っている。

 

それにしても、やはりAIやロボットとの共生を自然と受け入れられるようになるには、もう少し時間が必要みたいだ。少なくとも、我が家においては。