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文学パパが綴るかけがえのない日常

犬物語

ジャック・ロンドンの『犬物語』を読了した。

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前回書いた『火を熾す』の一篇を読んだ時点で購入した。ロンドンの小説が好みにあったので、柴田元幸訳の同シリーズを読破しておくことに。

 

この本は柴田がセレクトした犬に纏わるロンドン作品が収録されている。そのうちの一篇は、著者一番の代表作と呼ばれる『野生の呼び声』だ。

 

やはりその代表作が最も印象に残った。主人公の犬目線で物語は進行する。温室育ちの犬がひょんなことから雪橇犬として生きることとなり、タフな生活を通してどんどんと野生の本能を蘇らせていく。

 

その主人公が辿る変化、抗えない野獣としての本能、そして次第に大きくなる野生からの呼び声。

 

自然と動物の描写は素晴らしく、なぜ筆者はこれほどまでに犬の気持ちがわかるのだろうか、と思わされた。おそらくは自然と動物に対し、敬意と畏怖の念を抱いているのであろう。

 

2冊の作品集を読み『火を熾す』と『野生の呼び声』が強く印象に残った。ロンドン作品は、また柴田さんが翻訳してくれた際に手に取りたいと思う。