いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

昨日の敵は

職場においてゲームチェンジが起きそうだ。

 

今日は久々に出社した。本当はまだ在宅勤務を続ける予定だったが、端末トラブルで前日からリモート接続ができなくなったのだ。ゆえに昨日は仕事にならず、打合せに参加したのみで業務を切り上げた。

 

久々の職場は、人事異動と組織見直しにより大きく様変わりしていた。また先に述べた端末トラブルは全社的なものだったので、ほとんどの人が出社しており、コロナ以前の職場の雰囲気が漂っていた。

 

新しく来たメンバとも顔を合わせ、担当内での仕事分担も変わるということもあり、私も新鮮な気持ちで業務に対し久々に前向きな気持ちを抱いていた。

 

予想はしていたものの、夏期休暇が来るまでの残り期間は相当に忙しくなりそうだ。また新しくきたメンバのフォローもあるので、しばらくは出社する必要もでてきた。それでも皆で励まし合いながらなんとか乗り切ろう。そう自身の気分を高めていた。

 

しかし、そんな前向きな気持ちに水を差すような出来事が起きる。夕方にひらかれた担当ミーティングでのことだ。今月からうちの担当には新たに複数の課長が着任し、担当の規模が拡大した。その新たに着任したばかりの課長のひとりが、いきなり我が物顔で担当全体を仕切りはじめたのである。

 

その課長は、これまで敵対関係にあった経営企画部から送り込まれた謂わばスパイ役の課長であった。今ではこちら側の身内になったにも関わらず、今でも前職の立場であるかのように振る舞い始めた。こちらを見下すような高飛車な態度で、我々全員に対し無茶な指示をバシバシ出しはじめたのである。

 

その場にいた全員の表情が凍り付いた。ただあくまで正論を振りかざしているので、誰も真っ正面からは言い返せない。彼が一方的にしゃべり、とてつもなくハードな依頼を他人事のように周囲にばらまいた後、重々しい空気の中で打合せは終了した。

 

よく新参者として敵地に乗り込み、ここまで厚顔無恥な振る舞いができるものだ。やはり経企部出身者には鋼のメンタルの持ち主しかいないようである。

 

これまで私は、課長の上司にあたる切れ者部長との対応にストレスを抱えていた。しかし新たに登場した共通敵の存在により、それを押さえつけられる唯一の存在である部長がとても頼もしく思えてきた。

 

あんな奴に好き勝手やらせないでほしい。絶対に負けないでほしい。これまでもっとも手を焼かされたかつての敵が、今ではもっとも信頼できる最強の味方になった。なんだか少年漫画のような展開だ。なんにせよ、今後我が担当は大きく変わるだろう。激流の中、今度こそ自分のポジションを見つけたい。