いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

蕎麦を啜る

啜る、という行為自体が気持ちよい。

 

こんなにも堂々と音を立ててもいい食べ方が他にあるだろうか。汁を絡めて豪快に麺を啜る。そこで立つ音までもなんだか美味しく感じられるのだった。

 

朝起きたら、蕎麦の口になっていた。

 

近所にある蕎麦屋の、醤油ベースの鴨南蛮蕎麦が無性に食べたくなったのだ。休みの日だから行列ができているだろう。並ぶのは億劫だ。ただもう引き返せない。なんせ既に蕎麦の口になっているからだ。

 

起きてきた妻に話すと、蕎麦の口は妻にも伝染した。開店時間まであと30分。そこに間に合えば、列に並ぶのは最小限の時間で済むかもしれない。

 

急いで身支度をして、ベビーカーに乗せた息子と共に先に家を出た。開店時間ちょうどに店頭に着いたが、既に10組くらいが並んでいた。

 

しかし30分ほどで席に着くことができた。既に決めていたメニューを頼む。今日はトッピングで揚げ餅もつけてみた。鴨のロース煮は妻と分ける。なんとも贅沢なブランチとなった。

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麺と具を平らげると、まだ暖かい黒いスープが残った。私は店員さんに声をかけ、蕎麦湯をもらう。汁濃いめで混ぜ合わせながら美味しく頂いた。蕎麦湯まで飲み干して、蕎麦屋のフルコースが完了する。

 

至福の時。今週末はどこにも行けなかったので、この食事に贅沢さを集約させた。妻はもちろん、子供たちもご飯をバクバク食べており、皆で満腹になって店を後にした。近所に素敵な行きつけ店があるということで、生活の幸福度が高まってる気がする。