いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

準備に追われるサンタクロース

サンタはクリスマス当日だけ忙しいわけではない。

 

そんなことは子供の頃はわからなかった。当然、プレゼントを魔法で出現させられるわけではないのだから、子供たちが欲しいというものをひとつひとつ手元に集めていかなければならない。

 

もっといえば、子供が何を欲しがっているかを把握することから始めなければならないのだ。子供の気持ちはすぐに変わってしまう。子供心と秋の空だ。

 

クリスマスが二日後に迫った今日、サンタのもとに遂にすべてのプレゼントが集まった。最後のひとつは巨大な代物で、持って運ぶのは一苦労だった。

 

子供たちには当日まで気づかれてはいけない。ゆえに彼女らの目につかない場所にひっそりと隠しておく必要があるのだ。それはプレゼントが大きいほど大変になる。場所を確保するのもそうだし、そこに運ぶまでの道中にも気を使わなければならない。

 

ゆえにサンタは、子供たちが留守のときに行動をとることを選ぶ。むろん、その『留守』もサンタが巧妙にしむけて作り出したものである。

 

子供たちの知らぬところで、サンタはひとり汗を垂らし息を弾ませる。時間との闘いに勝利を収め、なんとか事前準備を完遂させるのであった。

 

あとは当日を待つばかり。そう言いたいところだが、まだまだやるべきことは多い。ふたたびパズルを組み立てるように、子供たちの行程とやるべき工程を、しっかりと順序立てしなければならない。

 

この世界には何人のサンタさんがいるのだろう。覚え立てのフェルミ推定で数を弾いてみてもよいのだが、そんなことせずともわかっていることはある。

 

どのサンタもみんな、きっと今頃はこんなそわそわした気持ちを抱いているのだろう。目的はひとつしかない。子供たちの喜ぶ顔を見たいからである。