いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ワンシーン

大粒の涙が頬をつたっていた。

 

お風呂上がり、娘をタオルで迎えに行くと、彼女が大泣きしていた。何事だろうかと尋ねると、何かを言っている。しかし泣きじゃくって聞き取れない。何度か聞き返していると、やっとわかった。

 

「みんな、しぬ、のがいやなの」

 

ああ。どんな文脈かは知らないが、一緒に入ってたママからそんなことを聞いたのだろう。以前にも似たようなことがあった気がする。たしかに子供の頃、それを意識して急に不安になったこともあったかもしれない。

 

身体をふいてあげながら、彼女が落ち着くのを待った。しばらくすると、鼻水でぐしゃぐしゃな顔になったことが可笑しかったのか、ひとりでに吹き出し、笑い始めた。

 

子供らしいな。喜怒哀楽の切り替わりが早い。そして素直だ。感情という川が真っ直ぐに流れている。

 

もう話題は移り変わり、早く弟が一緒に遊べるくらい大きくならないかなあ、とぼやいている。弟が大きくなったらふたりで遊べるからパパとママはお仕事してもいいよ、だそうだ。

 

楽しいな。モノトーンな生活に彩りが添えられる。