いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

何度でも、何度でも

夕日をバックに縄跳びする娘を眺めていた。

 

なんていい光景なんだろう。そう思った。娘は息を弾ませながら、何度でも縄を回し、その上を規則的なリズムで跳び続けていた。

 

「…9、10、11、あぁ…」

「…2、3、4、あぁ…」

「…12、13、14、あぁ…」

 

何度も何度も、娘は跳び続けた。上着はとっくのとうに脱いでいる。夕陽に照らされた顔が赤く染まっている。その中でも頬がとりわけ紅潮している。

 

彼女の人生において、とても意味のある瞬間を目にしている。そのことがとても嬉しかった。もっと上手になるために。誰に言われたわけでもない。ただただ自分がそうなりたいから。だから練習を繰り返す。前よりも多い回数が跳べると、嬉しいからだ。

 

自転車の練習を挟んだのちに、ふたたび彼女は縄跳びを手に取った。今度は最初から上着は脱いでいる。そこに、自転車に乗った妻がやって来た。息子を予防接種に連れて行った帰りである。

 

「きょう、ようちえんで18かいとべたんだよ!」

 

ママが来たことで更に張り切りだす娘。さっそく縄跳びを構え、真剣に跳び始める。しかし良いところを見せようと力が入り、数回で縄が足に絡まった。

 

急いた気持ちを落ち着かせようと、私は声をかけた。リラックス、同じテンポで、ゆっくりと。ひと呼吸する娘。息を整え、ふたたび縄を構える。

 

「1、2…」娘の着地に合わせて私がカウントを始める。いいペースだ。縄も綺麗に回っている。足取りも一定で安定している。次第に娘がニヤけてくる。

 

「…18、19、20、21!」

 

そこで娘が縄を踏んづけた。21回。今日出していた最高記録の18回を、更に上回る数字である。すごい!私と妻の賞賛が飛ぶ。娘は天を見上げ、我慢ができない様子で大笑いをしていた。

 

何かに挑戦して努力する姿はなんて美しいんだろう。それで何かを成し遂げたときには感動を覚える。私も転職という新たな挑戦を控えているからだろうか。娘のその姿に、大きな励ましをもらった。