いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

生まれ変わった納戸

家での私の役割はたいていブルーカラーだ。

 

適材適所である。仕事中じゃない私はいつもボケーとして、しょうもないことに思考を巡らせているので、手や身体を動かすほかないのだ。

 

ホワイトカラーを務めるのはもちろん妻である。そんな妻が注文していた納戸用のラックが届いた。

 

私は言われる前から役割を受け入れ、すぐに寝室の床に、ダンボールに入っていたパーツ群を広げた。天井に突っ張り固定するタイプなこともあって、背が高いシェードでなかなかパーツ数があった。

 

それでも私にはラジオがある。それを聴きながらならどんな作業もたいていは楽しくこなせる。説明書が不親切で少し手間取ったが、小一時間ほどでなんとかラックが組み上がった。

 

あとは妻の手も借りながら納戸の一角に収め、幅を調整し、天井に突っ張りを固定した。いくつかの手戻りも生じてしまったが、それでも妻の要望どおり、棚の設置を完了した。

 

そこからは妻の出番である。私は一線から退き、その様子を遠くから眺めていた。風呂上がりに納戸を覗くと、なんとも整頓された景色が広がっていた。

 

物で溢れていた納戸が今や三次元に活用され、増えた棚にはまだまだ収納の余地が残されているようだった。なんだか風通しが違う。臭い物に蓋状態だった納戸が、使い勝手の良い快適なスペースに生まれ変わった。

 

私の組み立て作業も報われた気持ちだった。素晴らしい結果が付いてくるのであれば、労働にも意義が見出せる。今後も、私の役割を果たしていきたい。