いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ラジコンを求めて

買い物帰りの妻とバトンタッチで外に出た。

 

仕事を少し早く切り上げたのでまだ空は明るい。階段を駆け下り、電動自転車に跨がる。線路沿いを快調に飛ばしながら、二駅先の家電量販店を目指す。ラジコンを買いに行くのだ。

 

なぜこんなことになったか。すべては私がラジコン人気を甘く見ていたことに起因する。先週末、私は家電量販店に来ていた。玩具フロア、そこでやっと気に入るラジコンに出会えたのだ。

 

ラジコンは長らく買いたいと思っていた。娘も欲しがっていたし、息子も公園で見かけるたびに目を輝かせていた。そしてかく言う私も、幼少期からの憧れであるラジコンで遊びたかったのである。近所にある広大な緑地公園で走らせたら、どんなに楽しいだろうか。

 

そんなわけで本当に長いことラジコンを探していた。しかしAmazonで探しても、中国産の見知らぬメーカーのものが占拠しており、レビューを見てしまうと、どうしても購入にまで踏み切れなかった。

 

また走行時間の短さも気になった。緑地公園にテントを張り、そこを拠点に一日中遊ぶことが想定される。そんな中、冒頭の30分でラジコンの電池が切れてしまうのは残念だ。せめて2時間くらいは動いて欲しい。そんなわけで、私の探していたラジコンは①日本メーカーで②長時間走行が可能なもの、であった。

 

そして出会ったのは、バンダイの『G-DRIVEeco+』というシリーズだ。言わずと知れた国産メーカーだし、表記された走行時間はなんと200分。まさに探していた製品であった。あとはどのタイプにするか。店舗に置かれていたのはシルバーの『ハマー』と、レッドの『ジープ』であった。
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私は実物のクオリティを見比べて『ハマー』の方が気に入った。しかし娘は赤いので『ジープ』がいいという。確かに車に疎い私でも『ジープ』という車種は知っている。正直なところ、どちらにしようかその場では決めかねてしまった。

 

Amazonを確認すると、同じ値段でネット上でも在庫があった。その日は別の買い物にも来ていたし、荷物も増えるのでネットで買おうと判断した。備忘のため、Amazonのカゴにもいれておく。どうせラジコンで遊ぶのは来週の週末だ、それまでにどちらの色がよいかをゆっくり決めよう、そのような算段であった。

 

しかし昨日の夜、私はにわかに焦り始める。

 

Amazonで『ジープ』の方が、いつのまにか在庫切れになっていたのだ。仕方ないから『ハマー』にするか、そう思って娘に確認をとると、どうしても赤がいいと主張する。私も在庫切れになったことで、急に『ジープ』の方が欲しくなる。Amazon以外も探したが、同じ値段で買えるものは見つからなかった。

 

ただ週末に店舗で見かけていたので、それじゃあ店舗で買おうと思考を切り替えることにした。近所の玩具店、そこで買えればアフターフォローも踏まえて一番都合がいい。妻が買い物で近くに行くというので、ついでに視察しに行ってもらった。しかし、狙いの製品はそこには置いていなかった。

 

それでもまだ当てはある。週末に見かけた二駅先の家電量販店だ。土曜まであったのだから今もあるに違いない。週末までに行って買ってくればいいのだ。そう思ってAmazonを確認すると、なんと『ハマー』の方も残り数点にまで減っているではないか。私の焦りはさらに上昇した。

 

どちらを選ぶにしろ、早く行動に起こさないと後悔を残してしまう。すでに週末とAmazon、二度のチャンスを逃しているのだ。そんなわけで、私は自転車に乗って二駅先のお店をめざしたわけである。

 

店についた。土曜日にみた棚の前に立つ。なんと『ジープ』はなくなっていた。棚の陳列も変わっている。次の週末に向けて、大きな棚替えをしているようであった。やられた。そう思ったが、やはり現物を見ると『ハマー』は格好よく見えた。そこで思い切って娘に電話をかけてみる。レッドがなかったからシルバーでいいか、と確認をしてみることにしたのだ。

 

「それなら、シルバーでもいいよー」

 

私は自転車のチャイルドシートに箱を積み、嬉々として家路にたった。家に到着すると箱を開け、電池をいれ、子供たちと家の中で試運転をした。部屋がものすごく狭く感じるほどにパワフルな走行を見せていた。

 

早く広大な公園で走らせなければ。週末が楽しみだ。