いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

後半戦につづく

ベランダ越しに眺める木々が輝いてみえた。

 

天気は快晴。今日も世界は美しい。外に出られなくなると、途端に外界が光り輝いてみえるのは困ったものだ。娘の感染がなければどこに遊びに行っていただろう。考えても仕方がないことは、考えても仕方ない。


とはいえ、家の中での監禁生活も想像していたよりはだいぶ穏やかなものである。娘が早期に回復し、息子も元気でいてくれるおかげである。引き続き家庭内感染への対策は講じているものの、精神的には思っていたよりも張り詰めすぎずに日々を過ごせている。

 

娘もだいぶ一人部屋生活に慣れてきたようだ。今日はパパやママを廊下越しに呼ぶ回数がかなり減った。

 

おやつの時間にはベランダの芝生にシートを敷いて、少しのあいだ日向ぼっこをさせてあげた。それには妻が付き添い、私と息子はガラス越しにリビングからその様子を眺めていた。

 

娘は陽の光と涼やかな外気に、とても嬉しそうな表情を浮かべていた。お菓子を食べるたび空を見上げ、深く微笑む。感染前には当たり前にできたことでさえも、我慢を強いられている今では極上の至福に思えているのだろう。その慎ましい娘の感性に触れ、なんだかぐっとしたものがこみ上げてきた。

 

お菓子を食べた後は、プリキュアの曲に合わせ芝生の上で思いっきり踊っていた。ほんとうにもうすっかり元気だ。ベランダから部屋に戻るときには、娘の足の裏は真っ黒になっていた。とても楽しい時間だったのだろう。部屋にもどると娘はすぐに昼寝をはじめた。

 

息子も寝たのでしばし大人達は銘々にリラックスした時間を過ごした。妻はゲームをし、私はONE PIECEのコミック本を数冊もってきて、ソファに寝そべりながらに読んだ。今朝アニメを観ていたら、漫画を読み返したくなったのだ。普段の休日であればこんなことはしない。部屋から出られないからこその時間の使い方だなあとしみじみ思った。

 

その後、息子が一度目を覚まして抱きかかってきたので、それを受け入れソファの上で添い寝をした。息子はふたたび寝息を立て始め、私もそれにつられて微睡みのなかに溶けていった。

 

夕暮れどきに起きると、そこから妻とナンをつくって、無印良品のカレーを食べた。妻が買いだめてくれていたものだ。そんな備蓄もあったおかげで、まだ食糧難には陥っていない。美味しい夕食であった。

 

さて、これで自宅療養の前半戦が終わった。まだ半分。おそらくはここからがキツい後半戦。環境に慣れ過ぎて、気を抜かないようにしなければ。当然私は仕事もあるので、妻のオペレーションも大変になる。それでもなんとかチーム力で来週も乗り切らなければ。