いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

初めてのパートナー説明

今日は初めてパートナー説明を実施した。

 

パートナーとは、コンサル系ファームにおいて一番高い役職の人だ。つまりは経営者であり、業務の最終責任者。すべての案件は、パートナーの了承を得てからでないとクライアントに提出することができない。

 

パートナー説明の機会はもっと先だとばかり思っていたのだが、思いのほか早いデビューとなった。とある公募に提出する提案書の作成を、私は任されていた。

 

最初はたたき台くらいを作成するのかと思ってゼロからやりはじめたのだが、上司たちとディスカッションを交わし、そのコメント等も反映しながら、結局は最後まで私の手で提案書を完成させることとなった。

 

先方からの指定様式はWordだったため、イメージ図等は使えずに「文章」のみで勝負することとなる。ゆえに繰り返し推敲を重ね、文字数との制限とも格闘しながら、ついにパートナー説明まで辿り着いたのだ。

 

午後からの説明だったので、午前中は最終の手直しと、説明の練習をしていた。コンサル業界でいえば、パートナー説明は「詰められる場」だというのが通説である。内容に対しては一定の手応えは感じていたものの、やはり初めてなので少しばかり緊張した。

 

パートナーの入室を待って、5分遅れでWeb会議が開始された。すぐさま上司から私に説明役が振られ、今回の公募の条件から、それに対して作成した提案書の内容を順に説明していった。


これまた様式がWordである弊害で、文字の羅列だけを見せながらの説明となる。できる限り体系的に理解してもらえるよう、全体構成から詳細といった説明の順序に工夫を施し、冗長にならないよう要点の掻い摘み方には気をつけて説明した。


練習の成果もあり、スムーズに説明が終えられた。パートナーからも、「わかりやすい説明でよく理解できました」と、まず幸先の良い台詞をいただけた。その後、内容についての議論を交わす。ここは上司も回答に参加して三人でのディスカッションとなった。


最終的には、内容についての大きな修正の指示はなく、いくつか更によくするための細やかな助言をもらった。よかった。これなら微修正を施すだけで資料が完成する。そんなふうに安堵していた矢先に、パートナーがおもむろに口を開いた。


「ちなみに、この提案書を書いたのは誰かな?」


上司が私の名前を応える。すると少し驚いた様子を見せた後、笑顔になって言葉を続けた。「素晴らしい文章力ですね。読んでいて、私までこの企画に参加したい気持ちになりましたよ」。


予想外の絶賛に、思わず恐縮してしまった。入社したばかりの初仕事だということもきっと意識されての発言なのだろうが、まったくのゼロからはここまでの言葉は引き出せないと思われる。モチベーションを上げようとしてくれているのだとはわかりつつも、素直に嬉しい気持ちが胸の中に広がった。


これまで培ってきたものが、この仕事でも活かせるかもしれない。転職をして以来初めて、具体的な手応えと自負が感じられた瞬間であった。


とりあえず、プロ集団の中でも武器となりうるものが見つかった。もちろん調子に乗るわけではないが、良い意味で気分を盛り上げつつ更なる研鑽に努めたい。