いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

これから何度も通う道

息子とふたり、近くの公園に来ていた。

 

娘が軽い風邪をひいてしまったので、退屈している息子だけを外に連れ出したのだ。彼は外に出るといつだってご機嫌になる。

 

公園内を広く散策しようと思っていたのだが、案の定、遊具エリアに捕まって、結局はその近くだけで過ごすことになった。

 

遊具から離れても、彼と一緒だとなかなか進まない。

 

「うわ!ほら、みて!あり!」

「あ!ほら、どんぐりや!」

「おぉ!みて、ほら、はっぱ!」

 

一歩歩くたびに地面になにかを見つけ、そのたび膝を折り屈みこむ。木の棒を握りしめ、拾ったどんぐりは持って帰ろうと、ズボンをめくり、股間のところに仕舞い込もうとする。

 

からしてみれば、外にあるすべてが興味深いのだろう。中でもやはり動くものに目を引かれるようで、鳩やカラス、車や電車には毎回の指を差し、口を尖らせて存在を叫んでいた。

 

そんな楽しい公園を後にする際は、やはり地面にへばりつく抵抗を見せ、泣き叫んで癇癪を起こした。最近、叫び声がまた一段と大きくなって、我々を困らせようと耳障りな高周波を鳴らす。

 

ただ、それによる成功体験を与えるわけにはいかないので、抱き抱えて強制帰宅の体勢に入る。途中からは諦めたのか、通りすがりの自販機の前でリンゴジュースをねだってきて、それでお互い手打ちとなった。

 

帰り道、平坦な道は彼を下ろして手を繋いで歩いた。歩きながらも彼はいつも何かを呟いているので、私もつられて喋りかけてしまう。やはり最低限でも会話を交わせるようになり、お出かけのパートナーとしては、またひとつ楽しい相手になった。

 

もう少し大きくなったら、ボールを持ってふたりで公園に行く機会も増えるかもしれない。そう思うと、彼とはこれから何度もこの道を一緒に通ることになるのだろう。彼の成長の過程を味わいつつ隣を歩けたら。