いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

私は女になりたい

窪美澄の『私は女になりたい』を読了した。

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最近、中高年の恋愛小説に惹かれるようになった。恋愛というよりは、その年齢における女性の気持ちに興味があるのだと思われる。

 

このような小説の題材となる男女は、たいていがうまくいっていない。年齢を重ねると、今とはまた違った悩みやストレスがあるのだということリアルに知れ、主人公を通してそれを追体験することができる。

 

私は妻とはこの先も長らく仲良くやっていきたいと思っている。そのためには、今後気をつけなければならないことは山ほどあり、また今すぐにでも改善しなければならないことが星の数ほど存在する。

 

それに対して今はどこか楽観視している自分に警鐘を鳴らす上でも、将来の自分たちにも起こり得る悲愴感漂う中高年の物語を読みたいと思うのかもしれない。

 

一方で、そんな人生の衰退期に差し掛かった年齢においても、日常における煌めきや豊かさは、変わらずに得られるのだという希望を得たいがために、物語を読んでいるという節もあるように思うのだった。

 

いずれにせよ、中高年が迫りくる今の年齢だからこそ、少し先を垣間見れる物語を好んで読むのであろう。次に何を読むかは決めてはないが、気付けばまたそんな題材の作品を手に取る予感があるのだった。