いよいよかぁ、という気持ちが強まった。
購入するときの娘の一番好きな色はピンクだった。ゆえに本人は「ピンクがいい、ピンクがいい」と言い張ったが、私と妻で頑張って諭し、なんとかピンクを回避させた。
今になって、それが本当に良かったと思う。
なぜなら、今現在の娘が一番嫌いな色が、少し前からピンクになっているからだ。そこまでしなくても、とこちらが思うほどの忌み嫌いっぷりなのだ。
おそらくは幼稚園のお友達の中で、ピンクは子供っぽい、小学校を控える私たち『おねえさん』にはピンクは似合わない、というようなことが言われているのだろうと思う。
何を選ぶ上でも、少しでもピンクが入っていると、拒否反応を示すのだった。彼女らの中で『幼さの象徴』となる色なのだろう。
そんなわけで、届いたランドセルがピンクだったらと思うと、恐ろしくて仕方がない。小学校に通う前から、登校拒否に陥っていたかもしれないのだ。
彼女が選んだのは薄紫色のランドセルだった。今日、届いた段ボールを開けて取り出すと、娘の瞳は輝いた。薄紫色は「おねえさん」の色であるから、最高なのだそうだ。ほっと胸を撫で下ろす。
娘は嬉しそうにランドセルを背負ってポーズをとっていた。色合いや細やかな刺繍が、可愛らしい彼女によく似合っていた。
娘の身体がまだ小さいので、ランドセルがずいぶん大きく感じられた。ただこれもあと何年かすれば、だいぶ小さく感じるようになるに違いない。本当にいよいよだなぁ、改めてそう心の中で呟いたのであった。
