いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

歓喜の第三戦

四時前にアラームで静かに目を覚ます。

 

枕脇に置いていたイヤホンを装着し、スマホを横に持ちAbemaのアプリを起動する。選手入場の場面であった。半分目をつぶりながら国歌斉唱を聞き、キックオフの笛から目を開き画面を見つめる。

 

緊張感が漂う試合入り。自軍のディフェンダーに立て続けにイエローカードが出た時には諦めかけたが、1点ビハインドで前半を終えられた時には、微かな希望を抱いていた。

 

静かにトイレに行き、本田さんの解説を聞きながらハーフタイムに心を整える。期待通り、後半の頭からのメンバー変更。ワクワクとした予感が過った。

 

その瞬間は思いのほか早くに訪れる。本田がいない今の日本代表における私の“推しメン”になった堂安の左足一閃。そしてテクノロジーも味方につけた奇跡的な逆転劇。前半は布団の中で観ていたのだが、興奮が抑えきれずにそこからはソファに座って観戦した。

 

本当に長い後半戦だった。ひとつのミスも許されないタフな展開を固唾を飲んで、手に汗握り観戦した。三笘があんなにも守備ができるだなんて。本当に文句のつけられない選手ではないか。

 

初出場の谷口も非常に安定していた。ただのイケメンじゃないのかよ。そして冨安の安心感たるや。流石はプレミアリーグで一位のチームにいるだけはある。

 

全員で集中を切らさずに守り切った。試合終了のホイッスル。私は息子が足元で眠る暗闇のリビングで、ひとり力強くガッツポーズをした。すぐさま寝室で観戦していたらしい妻からLINEが来る。こんなことなら一緒にテレビで観戦しておけばよかった。

 

そのあとは選手たちのインタビューや、興奮する解説者たちのコメントを聞きながら、なんども流れる鮮やかなゴールシールを飽きずに眺めながら、ふたたび布団の中へと戻った。

 

ただ興奮で寝られるわけがなかった。しばらく粘ったが、ついに寝ることは諦め、早朝から仕事を開始し、そのぶん昼休みを長く取り昼寝をすることにした。

 

気合が入っていた午前中の仕事は、期待以上に頭が冴え、思っていた以上に捗った。

 

次の試合は月曜日か。さっそく妻と共用のスケジュールアプリに登録する。勝利を信じて、その次のベスト8の試合も。期待通りならば、ここでブラジルとベスト4を賭けて戦うはずなのだ。

 

なんにせよ、まだW杯で日本代表戦が見られることを心から嬉しく思う。コスタリア戦以降どこか不機嫌だった妻も、朝からご機嫌に戻っていた。歓喜である。