図書館でもう一冊小説が借りたくなって、その場で棚から選んで借りた本だ。そういうときには、信頼を寄せている作者の作品にかぎる。
それにしてもこの小説は素敵だった。悲しみに包まれた主人公が田舎に帰り、少しずつ癒されて回復していくという物語。
よしもとばななの読みやすくどこか温かみのある文体が、物語全編を優しく包み込んでいた。誰にでも書けそうな、一見なんの変哲もない作品のようにも思えるのだが、行間から滲みでる、太陽の光をいっぱいに浴びた布団のような柔らかさは、この作者特有のものだと言えるだろう。
読みやすい上に、読後感も心地よい。よしもとばなな作品の中でも人気が高いことが頷ける。突発的に手に取った本だったが、良い本を選んだと嬉しくなった。
最近読んでなかったが、よしもと作品もまた読んでみたくなった。また本棚から良さげな作品を選ぼう。