いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

我が家の雛鳥

息子が口を大きく開けて身を乗り出す。

 

そこへ妻がスコーンを差し出すと、ガブラに噛み付いた。もぐもぐもぐ。口の中はすぐ空っぽになり、今度はこちらを向いて口を開ける。私は鍋のニンジンをスプーンで差し出す。

 

遅めの昼寝から目覚めた彼は、最初は不機嫌で泣いていた。汗もかいて不快だったのであろう。しばらくソファで抱っこしていると、匂いに気がついたのか、振り返って食卓を見つめた。

 

我々は彼が寝ている間に鍋を食べていた。もちろん息子の分はよそって残している。彼のお腹も鳴ったのであろう。食べるかい?と聞くと、大きく頷いた。

 

食卓では夕食を終えた妻が、食後のスコーンを食べていた。スコーン好きの息子はそれを「パン」と呼び、あれが食べたいと指をさす。でもまずはお鍋だよと彼の前にお皿を差し出す。じゃあ、交互に食べよう、という話になった。

 

甘いスコーンとごま豆乳鍋。組み合わせの相性は良くないはずなのに、彼は目をまん丸にして大きな口を開け、ものすごいテンポでそれらを食べていった。ものの数分で山盛りによそっていた鍋のお皿は完食され、妻のスコーンの何個かが食い尽くされた。

 

それでも口を開け餌を求めるその姿は、雛鳥のような愛おしさがあって、親として、食欲旺盛な彼の口に食事を運べることに言えたを感じていた。

 

食欲の割に身体は小さい彼だけど、栄養が摂れているからか、風邪も引きづらく、引いてもすぐに治る。やっぱり食事は大事だ。彼を見て再確認するのだった。