いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

娘に聞いてみたい事

娘に聞いてみたい事がある。

 

「なぜいつも私にはバイキンマンなの?」という事だ。

 

たとえば、娘の大好きなアンパンマンラムネを食べている時。娘は袋の半分くらいを食べると少し満足し、私や妻に一粒わけてくれることがある。

 

ラムネはそれぞれにキャラクターの形をしていて、娘は一粒とりだすたびに、「あ、アンパンマンだ」というような確認をしてから食べている。

 

そのラムネをわけてくれる時、私に渡されるのが毎回バイキンマンなのである。

 

人には自分が好きではないキャラをくれるのかな、と思い妻にも聞いてみたが、彼女にはアンパンマンなど娘の好きなキャラクターも惜しみなくわけているらしい。

 

しかし、私にだけは毎回バイキンマン。どうしてだろう。少し前から釈然としない気持ちを抱いていた。

 

そして昨日も、そんなシーンがあった。

 

最近忘年会の景品でもらったアンパンマンのアイスクリーム屋さんのオモチャ。それぞれのアイスにはキャラクターの顔が描かれているものだ。

 

娘はそのフルラインナップをおままごとのお皿に乗せ、私の元まで持ってきてくれた。「アイスよ、はい、どうぞ、たべて」と私の前に差し出す。

 

私はなんとなく、ドキンちゃんとコキンちゃんアイスを選んだ。すると急に怒り出す娘。「それ、ままの!」そしてそれらを手荒に没収し、代わりに私の手に押し込んだのが、またもやバイキンマンだったのである。

 

「ぱぱのは、これ!」

 

なぜだ。わからない。いや、推察することはできる。

 

娘の大好きなアンパンマンは娘自身の。可愛らしい女の子のキャラ(ドキンちゃん、コキンちゃん、メロンパンナちゃん)はママの。そして余ったバイキンマンはパパの、というロジックだ。

 

ただ、それでは納得しきれない。なんせラムネにはその他しょくぱんまんカレーパンマンだっているのだ。それなのに、私には毎回バイキンマン。これは娘が意図的に、私とバイキンマンを結びつけて考えているとしか思えないのだ。

 

嫌いだから。汚いから。意地悪だから。・・・どの観点で娘が私との共通項を見出しているのか、考え始めるとツラくなってくる。て、天才だからかな、と無理矢理な理由を見つけ、なんとか自分を落ち着かせに入った。

 

娘に正面切って聞いてみたい気もするが、聞くのが恐い思いもある。もう少し心の準備が必要だろう。ただ単に軽んじられているという理由であれば、それこそ目も当てられない。

 

ちなみに、娘に問いてみたいことはもう一つある。

 

「ぱぱ、抱っこしてぇ」と娘から甘えてきた際に「抱っこするよー」と抱きしめてあげると、すぐさま「はなして」と冷たく言い放つ時があることだ。

 

それが、まるでコントのような間合いなのだ。妻はそれを見てよく笑っているが、私はそのたび傷ついている。

 

これも「なんで?」と聞いてみたい気もするが、どう転んでも心に傷を負いそうなので、それはよしておこう。