いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小さな太陽

生活を送るうえで子供の存在は厄介だ。 ただそれ以上に、私たちに癒やしと希望を与えてくれる。妻が入院し、娘とふたりで暮らしはじめて、改めてそのことを実感させられている。 娘は昨日も明るく元気だった。先日テレビ放送のあった映画『リメンバー・ミー…

専業主夫

妻が入院し、私と娘ふたりでの生活がはじまった。 救いなのは娘が案外けろっとしていることだ。病院に行けばママに会えるので深刻には捉えていないのだろう。 朝ご飯を準備し、娘に食べさせ、洗濯をし、身支度を済ませ、妻へと持っていく物品(着替えや化粧…

妻が緊急入院した。

昨夜のことだ。人生とはなんとも予測がつかない。 昨日はそうでなくても大変な一日だった。コロナ関連で急遽会議を開くこととなり、その準備で昼食も取れなかった。通常業務でも主催の会議があり、その後も残業を出してひとりコロナ関連の方針をまとめていた…

優しい子

言われないとしないんだから、と妻は言った。 いわれないとしないんだから、と娘も真似をする。私は振り返って娘を見た。彼女は両手を腰に当て、いつもの『世話やき幼なじみ風』の佇まいを見せている。 「ほら、ぎゅっと、たっちして!」 私はふたたび妻の方…

娘に見る桐谷美玲

前髪を上げた娘は桐谷美玲に似ている。 目の前にある娘の顔を眺めながらに思った。娘の黒目には、奇妙な私の顔が映っている。最近手に入れた「お化粧セット」で、娘が私の顔にメイクを施しているのだ。 ちなみに、髪を下ろした娘は田中みな実に似ている。ふ…

公園欲の発散

娘が口をへの字に曲げ、足場の上で鼻息を荒げている。 「ぱぱは、そこでみてて!」 わかったわかった、と私は言い、それじゃあ乗せるところだけね、と娘に歩み寄る。太いロープを引き寄せ、それを娘に掴ませる。ロープの先端にある団子結びの箇所に娘を座ら…

「このまえさっき」についての考察

このまえさっき。娘オリジナル言語のひとつである。 思わず「どっちやねん」とツッコミたくなるが、ようするに『過去』を言い表す言葉として娘に使われている。 「ここいったね、このまえさっき」「このまえさっき、かったやつだ」 使われる場面は数多い。な…

愛について語るときに我々の語ること

レイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』を再読した。訳者は村上春樹である。この前に読んだ『ファイアズ(炎)』に続き、間髪入れずに読んだ。私の中でカーヴァー熱が上がっているのだ。出版の順番としては、今回の『愛について~…

コロナの影響

新型コロナの影響で、仕事が降ってきた。 部門長から緊急オーダーが出たのだ。急ぎ、最悪のケースを想定した自組織としての『パンデミック対策』をまとめろ、との指令だ。 もとは先輩が受ける予定だったが、別オーダーを対応中とのことで、私に話が回ってき…

にんげん

夜ベッドで交わされた会話が少し哲学じみていた。 きっかけは普段と変わらない注意からだ。部屋を暗くした後もなお動き回る娘に、妻が「鬼さんが来るよ」と低い声で警告をしたのだ。 「ぱぱ、おにさんがくるんだって!」「恐いね。早く寝ようよ」「ぱぱも、…

はじめての在宅ワーク

昨日は急遽、在宅ワークをすることになった。 通勤で使っている御堂筋線が止まったのだ。復旧の目処がすぐには立たないようだったので、同じ境遇だった先輩と共に、在宅ワークへと切り替えた。 初めてだったので、手順書を元に家のパソコンに設定することか…

冬の目覚め

枕の下に手を入れ、おもむろにスマホを取り出す。 画面の明るさに目がやられないよう、薄目を開いて表示を確認する。アラームが鳴る20分前だった。指で操作してアラーム設定を解除する。だいじょうぶ。心配しなくても、アラームはまだふたつも残っている。 …

ファイアズ(炎)

レイモンド・カーヴァー『ファイアズ(炎)』を読了。カーヴァーを読むのはこれで3作目となるのだが、実に数年ぶりのことだ。この前ヘミングウェイ作品を読んだときに、私はカーヴァーの文章が頭に浮かんだ。シンプルな言葉選びが、彼の文章を彷彿とさせたの…

パンツちゃん

娘はもう立派なパンツちゃんだ。 昨日はオムツではなくパンツを履き、一日中ショッピングモールで過ごすことができた。モール内では3度もトイレに行き、そこで用を足すことができたのだ。 妻曰く、外でこんなにもパンツだけで過ごしたのは初めてのことらしい…

チョコ日和

「ばれんたいんだよ!」と娘が紙袋を持ってきた。 夕食後のことだ。私は喜んで受け取り、さっそく紙袋を開いた。中にはふたつの小箱が入っていた。それらを取り出し、シールを剥がしてふたを開けはじめる。 娘は「おうた!」と言って、オモチャ箱へと駆けて…

おおきなかぶ

「これ抜けそうだね」 「ぬけないよ」 「あ、ホントだ」 「でしょ!」 「あ、もうひとり来た。次は抜けるでしょ」 「まだぬけないよ!わんわんもきてから!」 「あれ抜けない。あ、犬来た」 「ね!でしょ!」 「さすがにもう抜けるでしょ」 「まだだよ!ねこ…

移動祝祭日

ヘミングウェイの『移動祝祭日』を読了した。ヘミングウェイのパリでの若き日を記したメモアール(回想録)である。彼の作品は長篇、短篇と読んできたので、今回はエッセイを手に取ってみた。 読み応えがありとても面白かった。綴られる文章も、作品のときに…

秘めた我慢

昨夜のお風呂でのことだ。 「ぱぱのおなかには、あかちゃんいない?」 出し抜けに娘が訊いてきた。心配げな表情を浮かべ、まっすぐに私を見つめている。指はもじもじと動き、なんだか言いづらいことを抱えている様子だった。 「うん、いないよ。それはママだ…

カラダがふたつあったなら

昨日は会社を休んで子供たちと遊んだ。 飛び石連休を繋げて4連休にしたのだ。また「子供たち」というのは娘と娘の友達のことである。妻とママ友がミシンで編み物をする間、ふたりの子供を近づけないよう、遊ばせることが私のミッションだった。 娘の友達とは…

ちょきちょき

患者が診察室へと運ばれる。 私が患者だ。娘は愛用する医療セットを、私が寝そべるせんべいぶとんの脇に置いた。それを開け、中から診察道具をいそいそと取り出していく。 娘はまず聴診器を耳につけ、私の胸へと押し当てた。「かぜじゃないなあ」と独りごち…

『鬼滅の刃』に見事にハマる

遅ればせながら『鬼滅の刃』にハマった。 爆発的ヒットにより書店でも売り切れが相次いでいると、今巷を騒がせている超人気漫画だ。 連日「社会現象」とも言うべきそのようなニュースを見て気になっていたが、このたびAmazonプライムでアニメを観ることがで…

こころ朗らなれ、誰もみな

アーネスト・ヘミングウェイの『こころ朗らなれ、誰もみな』を読了した。翻訳は柴田元幸である。先日『日はまた昇る』を初めて読んで以来、ヘミングウェイへの興味が尽きていない。ということで、次は短編集を読んでみることにした。彼は短篇の名手としても…

段取り力開発研修に行ってきた

『段取り力開発研修(応用編)』に行ってきた。 先月行った『ロジカル・シンキング研修』と同様、段取りは自分にとって自信のあるスキルのひとつだ。それゆえ一度しっかりと体系的に学び、根拠のある自信へと変えることが参加の目的だった。 結論から言うと…

ひとりで食べたもん!

娘はワルい子だと大好きなママと寝られない。 しつけのために、そういう措置をとる夜があるのだ。そんなとき娘は「ままとねたいぃいぃ」と泣きじゃくる。 その“刑”が執行されるのには色々な原因がある。ご飯をお利口に食べなかったり、お片付けをしなかった…

げんなり

部屋の中が雑然としていた。 娘が遊び散らかしたのだろう。妻は怒るのにも疲れ果てた表情を浮かべていた。曰く、夕飯もろくに食べないまま、言うことも聞かずに遊びほうけていたらしい。 娘のワガママが最近また強くなったようだ。 ただ傾向としては、幼稚園…

昇格

発令が出てまたひとつ昇格した。 ついに管理者の一歩手前となる階級となった。面接や試験を勝ち抜き、会社の制度上、最も若い歳でここまで来ている。‥…とはいえ、まだ同期の4割ほどが同じなので、そんなに珍しくはないのだけど。 そんなわけで、昨日は仕事の…

子どもの回復力

昨日は久しぶりに娘が熱をだした。 おかげで、珍しく前々から計画をしていた週末の予定を断念せざるをえなかった。でも仕方の無いことだ。家中を暖かくして娘の早期回復に努めた。 寝起きからくしゃみを連発し、微熱がありながらも、はじめ娘はいつものよう…

すき焼きすき

昨晩は家ですき焼きを食べた。 ちょっとしたブルジョア自慢になってしまうが、二週連続でのことである。グラム500円という普段よりも割高なお肉を使い、おいしく頂いた。 妻が妊娠し、週末も思うように外出できなくなった為、せめて食事にくらいは楽しみを設…

ただ得意な仕事ができるだけ

面談があり、年間評価として最高となるAを貰った。 これでボーナス評価も含めると5期連続のAだ。誇らしい気持ちにもなったのだが、その後にあった出来事によって、自分なんて大したことないなと思わされた。 ひとつめの出来事は、夕方から参加した他組織主催…