いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

冬の目覚め

枕の下に手を入れ、おもむろにスマホを取り出す。

 

画面の明るさに目がやられないよう、薄目を開いて表示を確認する。アラームが鳴る20分前だった。指で操作してアラーム設定を解除する。だいじょうぶ。心配しなくても、アラームはまだふたつも残っている。

 

スマホを掴んだまま、右手を毛布の中へと引き戻した。しばしむき出しで外気に触れていたぶん、毛布の中は染みいるような暖かさだ。頭の中にはサーモグラフィの画が浮かぶ。青かった箇所が徐々にオレンジ色へと変わっていくのがわかる。


ふたたび心地よいまどろみに包まれていく。意識の輪郭がふにゃふにゃに溶けだし、もはや形を保っていない。次に気がついたときには、30分が経過していた。

 

いつもならもうベッドから起きている時間だ。ただ重い腰が上がらない。それどころか、腕の一本でさえもはや毛布から取り出したくはなかった。唯一外気に晒されている顔面で、室内がいかに冷えているのかがわかる。

 

出たくない。一生このまま毛布にくるまっていたい。寒ければ寒いほど、目覚め時の戦闘は激しさを増す。それでも出なければならない。仕事があるからではない。今日もブログを書きたいからだ。

 

そんなわけでこのブログが、冬の目覚めを奮い立たせる上での役目を担ってくれている。好きなものって強い。