いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

娘の早起き

目が覚めると、娘の顔がそこにあった。

 

真っ黒な瞳で私の顔を見つめている。私が目を開けると口元に笑みを浮かべた。しかし、声は一切発しない。

 

ここ2日、早寝をさせられているおかげだろう。その分、私たちより目覚めが早くなったようだ。

 

規則正しい生活は良いことだ。ただ、あまりに早く起きてしまうと妻も大変なので、できればもう少しだけ寝てほしい。幸い、娘もまだぼーっとしているようだった。

 

そのため私は再び目をつむり、横の体勢を維持した。娘は抱きしめるように私に寄りかかり、胸に顔を埋めた。

 

しばらくすると、娘が動かなくなったので身体を抜いてひとり起きようと試みた。しかし、私が動くと娘はすぐに顔を上げ、期待を込めた瞳で見つめてくる。浮かべている微笑は、聖母のような穏やかさを携えていた。

 

そのような攻防を何度か繰り返していたが、最後は私の目覚ましアラームが鳴ったことで決着となった。さすがにこれ以上、私は起きるのを引き延ばせない。

 

その様子を密かに伺っていた妻も諦めたようで、娘に声をかけた。すると、娘はとても嬉しそうに飛び起きて、せわしなくベッドを降り、こう言うのであった。

 

「ぱぱ、まま、おきよう、おいで〜!」

 

そんなふうに今日という日が始まった。もはや清々しい。なんだか、楽しい1日になってくれそうである。